取材レポート

須磨浦小学校

第一志望校合格を全力でサポート!中学受験に強い私立小学校のきめ細やかな教育

2022年に創立120周年を迎えた須磨浦小学校。開校以来、1学年1クラス制のもと、多くの大人で子どもを見守る丁寧な教育を展開してきました。 併設の中学校を持たない同校では、ほぼ全児童が中学受験をするため、6年生の早い段階で小学校のカリキュラムを終え、その後は入試演習を中心とした授業を展開するなど、学校全体で中学受験を応援する体制を整えています。例年、ほぼ全員が第一志望校に合格することから「中学受験に強い私立小学校」と高い評価を得る同校の教育について、校長の岩渕正文先生と教頭の佐山公章先生に話を聞きました。

須磨浦小学校
岩渕正文校長先生・佐山公章教頭先生のお話

岩渕正文校長先生

岩渕正文校長先生

佐山公章教頭先生

佐山公章教頭先生

須磨浦小学校 岩渕正文校長先生・佐山公章教頭先生のお話

少人数の利点を活かした、合格につながる丁寧な指導

ほぼ全児童が中学受験をする須磨浦小学校。2022年度入試でも、例年通り、ほぼ全員が最難関校をはじめとする第一志望校への進学を決めることができたそうです。

今年の中学受験の結果を振り返って、岩渕校長は「当たり前のことをコツコツできる子は、最後の伸びがすごかったですね。無理かもと思っていた第一志望校に手が届きました。自分の弱点に向かい合う姿勢が、合格には必要なのだと再確認しました」と分析します。

そういった姿勢を育むため、同校では日々の課題や提出物のチェックを低学年から徹底していると佐山教頭は話します。

「保護者に丸付けをお願いした宿題も、どういう所を間違えているかなどの確認を必ずしています。そして苦手そうだなと感じる所があれば補習に残ってもらったり、ご家庭に連絡を取り、学習の定着具合をお伝えして、その改善策を提案させていただいたりしています。このような指導は、受験学年できちんと自分の弱点に向き合えるよう、受験学年になる前の段階でより密に行っています」。

間違った問題を出来るようになるための指導を、家庭との連携のもとに徹底して行えるのは、1クラスを担任・副担任の2名で見るきめ細やかな指導体制が敷かれているからこそ。受験学年になってからも第一志望校合格を目指し、積極的に家庭に関わっていくと佐山教頭。

「中学受験の先に子どもの夢があり、子どもの夢を応援する手段のひとつに中学受験指導もあると考え、受験校の相談にも乗りますし、こちらが持っている中学校の情報もお伝えします。受験勉強は塾におまかせでなく、学校でも取りこぼしのないようフォローをしていきます。塾と学校の両方で子どもが前に進む手伝いができればと思っています」。

本物に触れる経験が、真摯な学びへの姿勢を育む

同校では、本物に触れる経験が子ども達の夢を育むという考えのもと、行事や校外活動などにも力を入れています。コロナ禍のため思うように出来なかった校外活動も2022年度は再開。7月には4.5年生が参加する瀬戸内海・余島でのサマースクール、1月には3年生の美方高原ウィンタースクール、2月には6年生の長崎修学旅行に行くことが出来ました。

岩渕校長は「長崎の修学旅行では被爆者の方の話を聞く時間がありました。その中で、子ども達は今の生活が当たり前であることが本当に良いことなんだと気付いてくれました。先日の卒業式の答辞でも、当たり前のことを普通に出来るのが幸せだと分かったと述べていましたね。良い学びを得て卒業してくれたととても嬉しく思いました」と笑顔を見せます。

続けて、佐山教頭も「校外活動を通して得た本物に触れる経験は一見勉強には関係ないように見えますが、後々の勉強面での伸びに影響があるのだとすごく感じました。2023年度は宿泊行事以外でも、金融教育やキャリア教育など、中学受験の先にある子ども達のキャリア形成に役立つプログラムを出来ないかと計画中です」と熱く語ってくれました。

日々の授業を通して、疑問を持つ力や書く力を養う

同校では、普段の授業でも本物に触れる機会をたくさん設けています。例えば、岩渕校長が担当する理科では、5年生の地震を学ぶ単元で、実際に通学している学校近辺の地盤の違いを学習後に観察してもらうのだとか。

「実は、山陽須磨駅からの通学路の途中に須磨断層があります。その断層面を見学したり、新しい家が建ち並ぶ区画を見て、なぜこの区画は新しい家ばかりなのかを考えてもらったりします。教科書で読むだけでなく、実物を具体的に示しながら学ぶことが、地震や津波についてのより深い関心につながっていると感じています」。

このように実体験を通した学びを重視する教育の成果は、夏の自由研究作品にも表われます。2022年度には、神戸市小学校作品展に出品された5年生の児童の作った防災マップが、国土交通大臣賞を受賞しました。

「この作品は、学校からの地震や津波が発生した時の避難経路を実際に歩いて、地図からは分からなかった情報、例えば『この避難所は近く見えるけど、斜面がきついので逃げにくい』などの情報を盛り込んだレポートと、避難所や土砂災害警戒区域の情報を落とし込んだ立体地図から出来ています。本やインターネットから得た情報をただまとめるだけでなく、自分の足を使って色んな観点から調べたことで、ありきたりの防災マップではない彼の考えが見える作品となりました」と岩渕校長は説明します。

取材時に防災マップを拝見しましたが、緊急避難指定場所の安全性や須磨浦小学校生の児童が避難するのに最適な場所などについて、自分なりの仮説、検証、結果の考察が理路整然と模造紙一枚にまとめられており、津波が来た時に須磨浦小学校生の児童がどのように行動したらよいかが良く分かる作品でした。

この作品で見られる自分の考えを伝わりやすいようにまとめる技術について、佐山教頭はこう述べます。

「毎年発行する文集『太陽の子』を書く際には作文指導をしています。また、日々の授業でも、国語であれば作者の考えや自分の考え、算数ではどうやって解いたか、理科であれば実験前の予想と実験後の考察など、必ずまとめを書くようにしています。こういった日々の積み重ねが書く力につながっているのではないでしょうか」。

近年、中学入試でも記述問題が増える傾向にあります。そこで求められる書く力を無理なく培える授業が、同校では日々展開されていることが伝わってきました。

まとめ

1学年1クラスで、学年を超えて全校児童が仲良く、大きな家族のように過ごす須磨浦小学校。卒業生も頻繁に顔を見せてくれるそうです。先日は在学中からバレエに打ち込んでいた子が、海外のバレエ学校に留学が決まったことを報告しにきてくれたと岩渕校長は嬉しそうに話してくれました。

「本校にはバレエやサッカーなど、学校外での活動をがんばっている子も多くいます。そのような子の中には指定校推薦を使って進学する子や公立中学進学を選択する子もいます。本校は偏差値ばかりを重視した進学指導はしません。一番大切なのは自分の目標をしっかり持って、それに向かって頑張っていくことです。それを全力でサポートします」。

きめ細やかなサポートは、勉強面はもちろん、学校生活においても見られます。今回の取材時には、JR神戸線が線路火災で不通となり、JRで通学している児童はいつも通りの通学ルートで帰れない状況となっていました。それに対応するため、山陽電車の振替輸送で帰るのか、JRの再開を待つのか、学校までお迎えにくるのかを、先生方が手分けして児童の保護者に電話で確認し、児童がスムーズに帰れるように手配していました。このような交通トラブルのほか、自然災害時も同じように家庭に連絡を取り、方面別集団下校の手配などを行うとのこと。安心して通わせられる環境が、同校には整っています。

取材協力

須磨浦小学校

〒654-0072 兵庫県神戸市須磨区千守町2-1-13   地図

TEL:078-731-0349

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