取材レポート

須磨浦小学校

小学校低学年は「自ら成長する力」を育む大切な時期。
少人数制ならではの豊かな人間教育と丁寧な指導で、 保護者からの高い満足度を得る伝統校。

須磨浦小学校は兵庫県でもっとも歴史が古い私立小学校です。1902年(明治35年)の開校以来、100年を越える歴史の中、1学年1クラス制を継続してきました。少人数制ならではの手厚い指導による学びの定着と、全校を通して育まれる心の通いあう温かな関係性は、少子化が進む今、保護者からとくに高い評価を得ています。

ほぼ全員の児童が、私立・国立中学校を受験する須磨浦小学校では、1年生から中学受験を見据えたカリキュラムがスタート。とくに低学年では基礎基本の徹底が重視され、時間をかけて自ら学ぼうとする力を育みます。また勉強と同時にさまざまな質の高い経験を重視し、スポーツや芸術のプログラム、英語を活かした国際交流、宿泊施設での自然体験などを行っています。少人数制だからこそかなう豊かな感性を持った人間教育について、山本義和学園長、岩渕正文校長先生にお聞きしました。

山本義和学園長、岩渕正文校長先生のお話
山本義和 学園長

山本義和 学園長

岩渕正文 校長先生

岩渕正文 校長先生

自ら学ぶ姿勢の基礎づくりとなる低学年の学校生活

須磨浦小学校では、伝統的に少人数制を継続しており、丁寧で手厚い指導で自ら成長しようとする人間性を育みます。岩渕校長先生は小学校の6年間を人間の成長の基礎ができる時期と考えられています。「日本では芸事など、道を極めようとする時には『守破離』という考え方がありますが、小学校での学びにおいても同じです」とたとえながら、須磨浦小学校での学力の育み方を説明してくださいました。

まず3年生までを“守”の時期として、学力の基礎となる漢字と計算を徹底し、反復学習を行って着実に身につけます。なかでも1年生は、学びの姿勢を作るための大切な時。「できなかったことができるようになった喜び」を体得できるよう、先生方が児童のやる気を引き出します。一人ひとりの習熟度を見極めて個別にアプローチし、粘り強く指導することで漢字や計算の取り組みが生活習慣として定着します。1年生の2学期からは補習も実施し、フォローアップを欠かしません。この丁寧な取り組みは、全学年で実施されている担任と副担任の2人体制だからこそとお話くださいました。

“守”の時期の仕上げともいえる3年生にもなると、漢字や計算への取り組みが成果として現れます。また朝学習なども習慣化し、学びに対する意欲的な姿勢が完成します。近年、基礎学力向上の徹底に力を入れた結果、漢検や学力テストなどの成績で全校的な向上がみられ、成果を実感しているそうです。
1年生

1年生

2年生

2年生

3年生

3年生

志望校合格に向けて、応用力、実践力を育む高学年

4年生からは“破”の時期。中学入試を意識した学びが本格化します。学校として基礎学力定着の見直しを行い、入試に対応できる力を身につけることを目標に、ドリルなどを活用して応用力を育成します。現在は教育開発出版株式会社「新小学問題集」シリーズを使って、中学入試問題を意識した指導をしています。

そして受験生として、それぞれの目標に向かって学びの道を進む6年生は“離”の時期と考えます。6月からは、大手進学塾と提携した「コラボ授業」がスタートし、算数・国語・理科は志望校に特化した学習を実施。演習を充実させ、実践力を強化します。学校にいる間にも、受験勉強に取り組めるのは、子どもにとって効率のよい勉強といえるでしょう。

また進路相談についても、全教員が受け付け、受験情報も積極的に提供します。塾では偏差値を中心に進学先を判断しますが、児童の性格や得意分野を本当に理解できている小学校だからこそ、その子にあった中学校選びが可能になるとのこと。また、推薦枠を多く持っているのも伝統校ならではです。保護者からも、小学校の仲間と一緒に受験に向かえることは安心と好評だそうです。ここまでできるのも少人数制の小学校だからこそと、岩渕校長先生はお話しされました。
4年生

4年生

「新小学問題集」

「新小学問題集」

6年生

6年生

「コラボ授業」

「コラボ授業」

真の国際人を目指す英語教育・国際化教育

世界で活躍できる人材育成を掲げる須磨浦小学校では、6年間を通してグローバルな視野を養える英語教育・国際化教育を重視しています。1~4年生は週2時間、ネイティブ・スピーカーの教師が英語の授業を担当。習熟度でクラスを分け、とくに低学年は楽しく英語が学べるよう配慮します。また英語力アップのためのプラスαとして、放課後に週2回、課外授業として「レプトン英語教室」を開講。4技能が自然に習得できるプログラムとして、低学年では多くの児童が受講しているそうです。英語に慣れ親しんだ5~6年生になると、毎月1曲、英語の歌を習います。歌詞の意味まで理解して、みんなで歌い、子どもたちはあっという間に覚えていくそうです。ほかにも高学年はJunior English Testを受験するほか、レシテーションコンテスト(暗唱大会)にも参加。自分のスキルに合わせたチャレンジを通して、英語の力をさらに身につけます。

また毎年、アメリカ合衆国オレゴン州ポートランド市・リッチモンド小学校から、児童が須磨浦小学校を訪れ、ホームステイをしながら児童とともに過ごします。反対に須磨浦小からも希望者がリッチモンド小を訪問し、現地の家庭にホームステイ体験を行います。授業やイベントを通して生きた英語を学び、現地では日本文化の紹介として茶道のお点前を披露。国際化教育の一環として、児童にも保護者にも喜ばれています。
ネイティブスピーカーの英語授業(1年生)

ネイティブスピーカーの英語授業(1年生)

「レプトン英語教室」

「レプトン英語教室」

リッチモンド小学校の授業に参加して

リッチモンド小学校の授業に参加して

本物志向で高い品格を育てる“須磨浦精神”

開校以来、「体育・徳育・知育」のバランスが取れた成長を通して、豊かな人間性を育むことをモットーに掲げている須磨浦小学校。その中で培われるのは“須磨浦精神”とも呼ばれる高い品格です。

全校児童が仲良く学校生活を送ることが学校の文化として根付いており、自然と高学年が低学年の面倒をみます。気持ちよく毎日を送れるよう全員が意識できており、他者への思いやりや社会の一員としての自覚が自然と芽生えていきます。「何事にも前向きに取り組む人間性の成長には、毎日を安心して過ごせる環境と信頼できる友達や仲間は欠かせないもの。それは自ら学ぶ意欲の糧になります」と山本学園長は話されます。

須磨浦小学校では体育にも力を入れており、専科教員が指導します(高学年は専科教員2名によるティームティーチング指導を実施)。一人ひとりの動きの特徴を把握し、パーソナルトレーナーのように基礎から的確に指導。体育の授業は全学年週3時間確保されており、運動が苦手な児童も、身体を動かすことの楽しさに気づいていくといいます。

また習字も専門講師からの手ほどきが受けられ、高学年になる頃には男女問わず美しい筆文字が書けるようになります。また、保護者が毎年、とくに楽しみにしているのは音楽会。コンサートホールを借り切って実施され、本格的な発声法から練習を積み重ねた合唱や、さまざまな楽器を用いての合奏など、児童たちのいきいきとしたハーモニーが奏でられます。
体育授業

体育授業

習字授業

習字授業

まとめ

山本学園長は、一日の中でも、朝の子どもたちの様子がとくに好きだそうです。登校後、朝の学習を終わらせ、学年に関係なく元気に遊んでいる姿を目にすると顔がほころぶとのこと。心も体も万全の態勢を整えて1時間目を迎える習慣ができていることも須磨浦小らしさのひとつと話してくださいました。須磨浦小学校では4代に渡って通っているご家庭もあります。創立以来続いてきた少人数制は、学年を越えて兄弟姉妹、代々の卒業生を含め、大きな家族のように感じられました。

保護者は小学校を選ぶ際、「よく勉強をさせてほしい」と思いますが、同じだけ「元気に子どもらしく充実した時間を過ごしてほしい」とも願います。どちらもバランスよく充分に体験できるのが須磨浦のスタイル。自らの力で答えを見つけて解決する力が問われるこれからの時代において、須磨浦小で醸成される豊かな人間力は、改めて必要とされるはずです。

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