取材レポート

須磨浦小学校

少人数教育により学習指導や自然体験が充実

須磨浦小学校では、児童一人ひとりへの手厚い教育により「体育・徳育・知育」を養い、保護者からも高い信頼が寄せられています。学年に応じたきめ細かい指導や中学受験対策、そして豊富な自然体験についてお話を聞きました。

須磨浦小学校 校長 山本 義和 先生のお話
校長 山本 義和 先生

校長 山本 義和 先生

須磨浦小学校 校長 山本 義和 先生のお話

少人数制教育の学校として

本校は創立以来、1学年1クラスの少人数教育を行う私立学校として、学習面・生活面ともに一人ひとりへのきめ細かい対応を大切にしてきました。担任は日々子どもの様子をよく見て、悩みや不安など学校生活の様々な問題に早期に対応するよう心がけています。

価値観や性格が異なる一人ひとりの児童たち。その個性に合わせた指導が求められるのが今の時代です。例えば、友だち同士のトラブルが起きたときには、担任は一人ひとりから丁寧に話を聞きます。そして、子どもの気持ちに寄り添いながら、してよい事、悪い事を教えていくのです。

登校時は、校長が正門に立ち、担任が教室で児童を迎えています。学期当初は、教員が通学路に立ち、安全な登校ができるよう指導もしています。そのうち、全校児童の顔を覚え、自然にやり取りができるようになるのです。ちなみに、下校時には、教員が須磨駅まで引率します。

低学年はベテラン教員と若手教員の2人で指導

低学年は最も大事な時期。基本的な生活習慣や友だちとのかかわり方、授業の受け方など、学校生活の基本をしっかりと身につけなくてはなりません。これは、時間がかかることです。もちろん、保護者はわが子が無事に小学校生活に馴染めるかと心配しています。

そんな低学年の担任には、指導力のある経験豊富な教員をあてています。子ども一人ひとりをしっかりと受け止め、丁寧に指導することによって、安心して学校生活に馴染んでいくのです。ベテランの教員は、保護者にとっても頼りがいがある存在となります。

一方、副担任は、若手の教員が務めます。子どもは若い先生のことも大好きです。遊び相手にはぴったりですから(笑)。若い先生のほうが相談しやすいということもあるでしょう。このように、低学年ではベテランと若手の両方の教員が、正副の担任として児童と保護者を支えていきます。

中学年になると、学校生活に慣れ、自立心も育ってきます。担任には、中堅の教員をあてています。授業内容が少しずつ難しくなることもあり、一人ひとりの学習状況に目を配ることが肝要です。

希学園と連携して受験対策

本校では、ほぼ全員が私立中学に進学します。そこで、高学年には受験指導経験の長い教員が担任を務め、進学対策に注力。進学塾の希学園と連携した受験指導も行っています。1学期の半ばまでに小学校の学習内容を終わらせ、以降12月までは、算数と理科、そして国語の一部の授業を希学園の講師とのティームティーチングで行う体制をとっています。講師が授業を進行し、担任は一人ひとりを見て回り、つまずいている子どもをフォローするような形です。

受験を控えた児童には、精神面の気配りも大切です。この点でも、希学園の講師としっかり情報交換をしながら進学準備を進めていきます。私立小学校として、児童一人ひとりの願いをかなえられるよう責任をもって手厚く指導するというのが、本校のスタンスです。その結果、例年、灘・甲陽学園・六甲・関西学院・甲南・神戸女学院・甲南女子・高槻・岡山白陵など超難校や難関校に進学しています。

6年間のカリキュラムは中学受験をふまえ、授業時間数を充実させています。全学年で6時間授業を行うのが特徴で、低学年は週4日、6時間目まで授業があります。6年間の総授業時間数を公立小学校と比較すると、ちょうど1年分多くなる計算です。その分、休み時間に配慮し、2校時と3校時の間に20分の休み時間を設けています。昼休みも昼食を含めて1時間とっています。

自然体験も豊富に

自然を豊富に体験させるのも本校の特色です。教育方針は「体育・徳育・知育のバランスの良い教育」。知育に偏ることなく、身体と心の成長も大切にするという意味を込めて「体育・徳育・知育」の順で表しています。自然体験をたくさんした子どもほど、倫理観や道徳観が育つもの。宿泊訓練を伴う自然体験も全学年で行い、少人数の学校ならではのたいへん充実したプログラムを用意しています。

低学年は、4月に“エーデルささゆり”(多可郡多可町にあるホテル)にて1泊2日の合宿を行います。里山で自然を満喫し、生活科の学習として春の草花や生き物を観察。合宿中は、1・2年生の縦割りグループをつくり、2年生が後輩のお世話をするようにします。 3年生は、1月に“トヨタ白川郷自然學校”(岐阜県大野郡)にて、1泊2日の合宿を行います。世界文化遺産の白川郷の見学したり、雪山を体験したり。雪山では、かんじきを履いてガイドとともに自然観察やソリ遊びを体験。宿に戻ってから、自分たちが撮った写真をまとめてスライドショーを行い、発見や感動を分かち合います。フランス料理をいただきながらテーブルマナーを学ぶ機会も設けるなど中身の詰まった2日間です。

余島サマースクール・沖縄修学旅行

4・5年生は、7月に2泊3日のサマースクールを行います。宿泊先は小豆島沖の無人島、余島です。ヨットやカヌー、カヤック、タコやイカ捕りを体験するアドベンチャー、アーチェリーなどから好きなアクティビティーを選び、専門トレーナーから指導を受けます。スイカ割りやキャンプファイヤー、天体観測など心を震わせるような体験が満載です。

6年生は、受験を乗り切ったあとに沖縄修学旅行に行きます。平和祈念公園やひめゆり平和祈念資料館見学、講師による戦争体験のお話などから平和の尊さや命の大切さを学部ほか、沖縄観光や夜のリクレーションなど、最後の小学校生活をみんなで存分に味わいます。

こうした宿泊訓練を通して、整理整頓や規則正しい生活、社会生活に必要なルールやマナーなどを身につけていきます。中には、合宿中に3食みんなと同じものを食べることで、食べ物の好き嫌いを克服する児童も。合宿以外でも、体験学習として、田植えや稲刈り、野菜の栽培、里山ハイキング、近所の須磨海岸の清掃ボランティアなど多彩な活動を日常的に行なっています。

グラウンドの拡張事業

2018年5月には、グラウンドを整備し敷地面積を拡張します。それにともない校庭内の畑も広げ、野菜栽培や観察などを行う学習スペースを充実。遊具を設置した遊び場も広くなります。

最後になりましたが、本校では放課後教室を設けています。英語教室は週3回、茶道、スナックゴルフ、サッカーの各教室は週1回、校内で実施。お隣の須磨浦幼稚園の教室でピアノの個人レッスンも行っています。保護者の方々にも大変好評です。放課後教室の終了後は、児童の預かりや、6年生の受験指導も行っています。

ありがたいことに、本校の教育に対する共感が、保護者の方々に広がっているようです。実際に、入学を希望されるご家庭も増える傾向にあります。一人ひとりの教員が、地道に丁寧に児童を指導すること、本物に触れる自然体験を豊富に行うこと、そして、1年生から学習に力を入れ、受験指導の実績を積んでいることによるものと自負しているところです。これからも「体育・徳育・知育」のバランスの良い教育を念頭に、児童や保護者のみなさんのために、心のこもった手厚い教育を行っていきます。

取材協力

須磨浦小学校

〒654-0072 兵庫県神戸市須磨区千守町2-1-13   地図

TEL:078-731-0349

FAX:078-731-5178

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