取材レポート

利晶学園小学校(旧 はつしば学園小学校)

志願者急増!大阪で今、熱い注目を集める利晶学園小の“ワクドキ”教育

利晶学園小学校が掲げるスローガン「2050 FUTURE PRIDE」。そこには、今の子どもたちが30歳を迎える2050年に、自らの人生に誇りを持って生きていてほしい。そんな未来への思いが込められています。

この理念のもと、同校では企業や地域、卒業生とも連携しながら、新しい学びを積極的に展開。そうした取り組みは、2026年度の入学者数増加という形でも成果を見せています。

「学校はワクワクドキドキする場所でなくてはいけない」。そう語る江川順一校長へのインタビューを通して、利晶学園小学校の教育の最前線に迫ります。

利晶学園小学校 校長 江川順一先生のお話
校長 江川順一先生

校長 江川順一先生

利晶学園小学校 校長 江川順一先生のお話

未来の起業家を育む「ワクドキ・プロジェクト」

2023年度に校長就任した江川順一先生のもと、利晶学園小学校では教育内容の刷新が進められています。その象徴ともいえる取り組みが、2025年度からスタートした地元企業との連携授業です。

3年生では、羽曳野市の「有光農園」と河内長野市の洋菓子店「marchen・grimms heim(メルヘン・グリムスハイム)」と協力し、『ワクドキ・ブドウ・プロジェクト』を実施しました。

「子どもたちは実際に農園を訪れ、草抜きや袋かけ、収穫などのブドウ栽培を体験しました。その経験を俳句や俳画で表現してもらうだけでなく、収穫したブドウを使った洋菓子のアイデアも考えてもらったのです」と江川校長。

児童たちからは、タルトやゼリー、マカロンなど多彩なアイデアが集まり、その中から選ばれた「シャインマスカットタルト」が実際に商品化されました。
完成したお菓子は音楽発表会で保護者へ配布。さらに、紙袋のデザインも児童一人ひとりが手がけ、世界に一つだけのパッケージとして届けられたといいます。

また4年生では、河内長野市の和菓子店「千慕里庵(ちぼりあん)」と連携し、『ワクドキ・カボチャ・プロジェクト』を展開。校内農園で育てたカボチャを使った和菓子づくりに挑戦しました。

「単なる理科の観察で終わらせるのではなく、国語や図工、家庭科など、教科横断型の学びへと発展させました。自分たちが作ったものを、どう商品化し、どう届けるかまで考える経験は、子どもたちにとって大きな刺激になったと思います」と江川校長は振り返ります。
有光農園との連携授業

有光農園との連携授業

洋菓子店との連携授業(成果物のシャインマスカットタルト)

洋菓子店との連携授業(成果物のシャインマスカットタルト)

2026年度、さらに加速する起業家精神の育成

2026年度には、これまでの実践をさらに発展させた「起業家精神を学ぶカリキュラム」が新たにスタートします。

その目玉の一つが、大阪土産の冷凍たこ焼きで知られる「たこ昌」と連携した『地球にやさしいたこ焼プロジェクト』です。

「たこ焼きは大阪のソウルフードですが、原料となるタコは輸送距離が長く、環境負荷を示す『フードマイレージ(※)』が高いという課題があります。そこでSDGsの視点から、3・4年生に代替食材を使った新しいレシピを考えてもらう予定です。3年生は堺市、4年生は大阪府について社会科で学ぶため、地域の食材を活かしたアイデアに期待しています」と江川校長は語ります。

他にも、グルテンフリー食材として注目される「マロニー株式会社」のマロニーレシピの考案や、堺市の洋菓子店「フランシーズ」と校内で育てた野菜を用いたスイーツ開発など、多彩な計画が進行中です。

「『自ら作り、自ら売る』経験の積み重ねは、自らの力で価値を生み出し、人生を切り拓いていくための確かな一歩となるでしょう」と江川校長は目を輝かせます。

※フードマイレージ:食料の輸送量と輸送距離を掛け合わせて算出される指標。輸送距離が長いほど、環境負荷が大きいとされる。

国立大学との連携で挑む、AIリテラシー教育

利晶学園小学校の挑戦は、企業との連携だけにとどまりません。子どもたちがこれから生きるAI社会を見据え、国立大学法人大阪教育大学との包括的連携協定の締結も進められています。

きっかけは2024年度に同大学教育学部の向田識弘准教授(当時は金沢学院大学教授)を招き、生成AIを活用した授業を開始したことでした。

「AIと適切に向き合い、主体的に学びを深める力を育てたいという思いから、4年生や6年生を対象に授業を実施していただきました。さらに保護者向けの講習会も開催し、学校と家庭が一体となって新しい技術を学ぶ環境を整えてきました」

今後は、この取り組みを包括的連携へと発展させ、次の4つを柱にさらなる教育の高度化をめざしていく予定です。

●生成AIを活用した教育の共同研究・授業開発
●教員研修および人材交流
●教育・研究に関する共同事業
●大学・学校間の施設・設備の相互利用

「最先端の研究に触れることは、子どもたちにとって大きな刺激になります」と江川校長。大学との共同研究を通じて、これからの時代に不可欠な「AIリテラシー」を育む挑戦が始まっています。
生成AIを活用した授業

生成AIを活用した授業

向田准教授が作成した「閉じた生成AI」を開いてキャラクターづくりを行った授業

向田准教授が作成した「閉じた生成AI」を開いてキャラクターづくりを行った授業

刺激のシャワーが個性の種を呼び覚ます

江川校長が着任してからの3年間で、利晶学園小学校の外部連携は大きく広がりました。その根底にあるのは、「刺激のシャワーこそが、子どもの成長に欠かせない」という確固たる教育観です。

「子どもたちの中には、まだ自分でも気づいていない『個性の種』が眠っています。ただ日常を過ごしているだけでは、そのまま埋もれてしまうことも少なくありません。だからこそ、多様な刺激に触れる機会が必要なのです。その中で、『これが好きかもしれない』『これが自分に合っているかもしれない』と感じる瞬間が、必ず生まれてきます」と江川校長は語ります。

そうした刺激のシャワーの成果は、2025年度に全学年で導入された「ショー&テル(自分の好きなものを持参し、発表する活動)」にも既に表れています。

ある5年生は、自身が集めている石について発表。たくさんの石を前に、それぞれの特徴や成分、さらには化学式にまで踏み込んだ説明を披露したといいます。

「まるで高校生の研究発表のような内容で、周囲も驚くほどの知識量でした。本人が自信を持って発表できたことはもちろんですが、他の子どもたちが『ここまで好きなことを突き詰めていいんだ』と肌で感じられたことにも大きな価値がありました」

自分の「好き」を認めてもらえる環境だからこそ、子どもたちは周囲の目を気にすることなく、自分の興味や関心を思い切り深めていくことができます。 そして、その姿に刺激を受けた仲間たちの中にも、新たな「好き」の芽が育っていくのです。

数値で示す覚悟が、保護者の信頼を勝ち取る

利晶学園小学校の2026年度の入学者数は98名(定員90名)。前年度から14名増加と、大きな飛躍を遂げました。その理由について、江川校長は次のように分析します。

「ミキハウスとの企業連携や、オーストラリアでのミッション遂行型修学旅行など、次々と新しい取り組みを進めてきました。その一方で、2025年度に特に力を入れたのが『教育成果の可視化』です。本校の教育によって子どもたちがどう成長したのかを丁寧にお伝えすることで、保護者の信頼が高まり、その評価が口コミとして広がっていったのだと思います」

2026年4月に行われた学校方針説明会では、江川校長が保護者に向けて具体的な目標を示しました。

全児童の漢字検定受検、3〜5年生の英語検定全員受検(2029年度卒業生までに全員3級取得を目指す)、さらに1〜4年生での100マス計算の実施。いずれも、数値を伴った明確な目標です。

「数値目標を掲げる学校は多くありません。達成できなかった場合のリスクもあるからです。それでもあえて公表したのは、6年間を通してお子様を確実に育てていくという、私たちの覚悟を示したかったからです」

この方針のもと、各学年の説明会でも具体的な指導計画が丁寧に共有されました。 教職員が一丸となって目標に向かう体制づくりが進み、保護者アンケートの評価も着実に向上しているといいます。教育への満足感が口コミで広がり、志願者増へとつながる。利晶学園小学校では、そうした好循環が生まれ始めています。
ミキハウスとの企業連携

ミキハウスとの企業連携

オーストラリアでのミッション遂行型修学旅行

オーストラリアでのミッション遂行型修学旅行

6年を過ごす小学校は、一生の「心の拠り所」

2025年度、利晶学園小学校に新たな仲間が誕生しました。
公式マスコットキャラクターの「クマのRICKEY(リッキー)」です。

「図工の授業で全児童がキャラクターのモチーフを考え、その中から総選挙で選ばれた案を、現役芸大生でもある卒業生がイラスト化してくれました。在校生と卒業生のつながりから生まれたキャラクターなんです」と江川校長は話します。

この取り組みの背景には、「母校を大好きになってほしい」という強い願いがあります。

「私立小学校の魅力の一つは、教員の異動が少なく、卒業後も恩師に会いに来られることです。母校が『いつでも帰ってこられる場所』として存在することは、子どもたちにとって大きな安心感につながります。そして卒業生が戻ってきてくれることが、私たち教員にとっても大きな励みになるのです」

同校では、成人を迎えた卒業生を招く『はたちの集い』も開催しており、多くの卒業生が母校へ足を運んでいます。

開校から23年。今では、卒業生が保護者として再び学校に関わるケースも出てきたといいます。

「『4代にわたって利晶学園です!』と言っていただけるような、世代を超えて愛される学校にしていきたいですね」

そう語る江川校長の言葉からは、子どもたちの“今”だけでなく、その先の人生まで見据えた教育への思いが伝わってきました。

取材を終えて

今回の取材を通して、利晶学園小学校では、大学進学やその先の社会で求められる力を見据え、そこから逆算して6年間の学びを設計していることが非常に伝わってきました。これも、立命館慶祥中学校・高等学校の校長を務めて、“18歳の出口”を熟知している江川校長だからこその教育観だと感じました。
ぜひ実際に学校へ足を運び、子どもたちの可能性を引き出す“刺激のシャワー”と、その成長を長期的な視点で支える教育の姿勢を感じてみてほしいと思います。
オーストラリアでのミッション遂行型修学旅行

オーストラリアでのミッション遂行型修学旅行

取材協力

利晶学園小学校(旧 はつしば学園小学校)

〒599-8125 大阪府堺市東区西野194-1   地図

TEL:072-235-6300

FAX:072-235-6302

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