追手門学院小学校
伝統を礎に、新しい学びを創る。林英男学校長が描く追手門学院小の未来
1888年創立の大阪偕行社附属小学校を前身とし、西日本最古の私立小学校として今年で138年の歴史を刻んできた追手門学院小学校。
同校では「伝統と革新」を掲げ、時代の変化を見据えた教育に取り組んできました。
そうした中、2026年度に新たに学校長に就任したのが林英男先生です。
教員として長年子どもたちと向き合ってきた林校長は、コンセプトブックの表紙イラストを手掛けるなど、創造性を大切にする教育者としても知られています。
伝統校だからこそ守るべきものと、新しい時代だからこそ挑戦すべきこと。その両方を見据えた学校づくりについて校長の林英男先生からお話を伺いました。
追手門学院小学校 校長 林英男先生のお話
同校では「伝統と革新」を掲げ、時代の変化を見据えた教育に取り組んできました。
そうした中、2026年度に新たに学校長に就任したのが林英男先生です。
教員として長年子どもたちと向き合ってきた林校長は、コンセプトブックの表紙イラストを手掛けるなど、創造性を大切にする教育者としても知られています。
伝統校だからこそ守るべきものと、新しい時代だからこそ挑戦すべきこと。その両方を見据えた学校づくりについて校長の林英男先生からお話を伺いました。
追手門学院小学校 校長 林英男先生のお話
校長 林英男先生
追手門学院小学校 校長 林英男先生のお話
美術教師として培った創造性を、学校づくりへ
大学で美術教育を専攻し、卒業後は図画工作専科の教員として同校に着任した林校長。
この3年毎年発行される学校のコンセプトブックでは、表紙イラストを林校長が制作しています。
2026年度版は、大海原を進む一隻の帆船。子どもたちを乗せた船が、広い世界へ力強く漕ぎ出していく様子が描かれています。
「これから多様な時代を生きていく子どもたちに、元気に大海原を進んでいってほしいという思いを込めました」と林校長は笑顔を見せます。
長年子どもたちを見守ってきた林校長は、同校児童の魅力を「前向きさ」と「真面目さ」だと語ります。
「何事にも一生懸命取り組む子が多いですね。校外学習や体験活動、学校行事など、さまざまな経験を積み重ねる中で達成感を味わい、それが子どもたちの自信につながっているのかもしれません」
そうした子どもたちの可能性をさらに伸ばすため、林校長は伝統を大切にしながらも、時代に合わせた新たな学びの環境づくりを進めています。
この3年毎年発行される学校のコンセプトブックでは、表紙イラストを林校長が制作しています。
2026年度版は、大海原を進む一隻の帆船。子どもたちを乗せた船が、広い世界へ力強く漕ぎ出していく様子が描かれています。
「これから多様な時代を生きていく子どもたちに、元気に大海原を進んでいってほしいという思いを込めました」と林校長は笑顔を見せます。
長年子どもたちを見守ってきた林校長は、同校児童の魅力を「前向きさ」と「真面目さ」だと語ります。
「何事にも一生懸命取り組む子が多いですね。校外学習や体験活動、学校行事など、さまざまな経験を積み重ねる中で達成感を味わい、それが子どもたちの自信につながっているのかもしれません」
そうした子どもたちの可能性をさらに伸ばすため、林校長は伝統を大切にしながらも、時代に合わせた新たな学びの環境づくりを進めています。
コンセプトブック
情報教育を「ICTを使う」から「考える」へ
同校では、1997年という早い時期から情報教育に取り組んできました。
児童一人ひとりが使う端末には、タイピングやPowerPointなど、将来に役立つ実践的なスキルが身につくようWindowsPCを採用。
授業としては、端末の基本操作や情報リテラシー、資料作成などを学ぶ「情報」と、情報活用能力を段階的に育む「プログラミング」の2つを設けています。
林校長はこうした実践を土台に、情報という教科の枠にとらわれない「追手門らしい情報教育」の推進をめざしています。
その考え方を象徴するのが、プログラミング教育に対する捉え方です。
「プログラミング学習というと、ロボットなどをプログラムによって動かすというイメージをお持ちの保護者も多いと思います。しかし、その本質は、プログラミング技術の習得ではなく、論理的思考力の育成にあると本校では考えています」
先日行われたプログラミングの研究授業でも、あえてICT機器は使わず、フローチャートを用いて思考過程を可視化する取り組みが行われたといいます。
「情報という教科だけで終わらせるのではなく、あらゆる教科や学校生活において、『どこでつまずいているのか』『どうすれば解決できるのか』を順序立てて考え、自分自身を客観的に捉える機会を意識して設けていきます」
ICTを使うことではなく、思考力を育てること。
AIが瞬時に答えやプログラムを生成できる時代だからこそ、子ども自身が課題を整理し、考え、判断する力の重要性はますます高まっています。
同校が目指す情報教育は、そうした時代を生きる子どもたちの土台となる力を育む取り組みといえるでしょう。
児童一人ひとりが使う端末には、タイピングやPowerPointなど、将来に役立つ実践的なスキルが身につくようWindowsPCを採用。
授業としては、端末の基本操作や情報リテラシー、資料作成などを学ぶ「情報」と、情報活用能力を段階的に育む「プログラミング」の2つを設けています。
林校長はこうした実践を土台に、情報という教科の枠にとらわれない「追手門らしい情報教育」の推進をめざしています。
その考え方を象徴するのが、プログラミング教育に対する捉え方です。
「プログラミング学習というと、ロボットなどをプログラムによって動かすというイメージをお持ちの保護者も多いと思います。しかし、その本質は、プログラミング技術の習得ではなく、論理的思考力の育成にあると本校では考えています」
先日行われたプログラミングの研究授業でも、あえてICT機器は使わず、フローチャートを用いて思考過程を可視化する取り組みが行われたといいます。
「情報という教科だけで終わらせるのではなく、あらゆる教科や学校生活において、『どこでつまずいているのか』『どうすれば解決できるのか』を順序立てて考え、自分自身を客観的に捉える機会を意識して設けていきます」
ICTを使うことではなく、思考力を育てること。
AIが瞬時に答えやプログラムを生成できる時代だからこそ、子ども自身が課題を整理し、考え、判断する力の重要性はますます高まっています。
同校が目指す情報教育は、そうした時代を生きる子どもたちの土台となる力を育む取り組みといえるでしょう。
プログラミング学習
全員が世界とつながる学びを展開
本年度で56年にわたり国際教育に取り組み、海外研修や海外校との交流など、多彩なプログラムを展開してきた同校。
その取り組みをさらに発展させるため、2022年に国際教育センターを設置し、これまで以上に組織的な体制で、子どもたちの国際的な学びを支えています。
その象徴となるのが、「日本再発見プロジェクト」「国内STEAMキャンプ」「SUNプロジェクト」などの教育プログラム(いずれも希望制)です。
「海外へ行くだけではなく、日本文化を改めて学び直したり、国内の最先端科学施設を訪れたりすることで、自国への理解と世界への視野を同時に育んでいます。さらにSUNプロジェクトでは、アメリカを訪れ、世界最先端の科学や国際社会に触れる機会も設けています」
こうした希望制プログラムの一方で、林校長が全児童に関わる取り組みとして特に手応えを感じているのが、オンライン国際交流です。
「午後学習を活用し、オーストラリアの姉妹校とオンラインでつなぎ、質問をし合ったり、お互いの文化を紹介し合ったりしながら、リアルタイムで交流しています。2025年度は40回以上実施できました。海外研修は希望制のため、参加できる児童は限られますが、この取り組みであれば、すべての児童が世界とつながる機会を持つことができます。今後も続けていきたいですね」
近年は円安や物価高騰の影響もあり、海外渡航のハードルは高まっています。
そうした社会情勢も踏まえながら、海外へ行くだけでなく、日常の中で世界とつながる機会を広げようとする姿勢からは、同校が持続可能な国際教育を模索していることがうかがえます。
その取り組みをさらに発展させるため、2022年に国際教育センターを設置し、これまで以上に組織的な体制で、子どもたちの国際的な学びを支えています。
その象徴となるのが、「日本再発見プロジェクト」「国内STEAMキャンプ」「SUNプロジェクト」などの教育プログラム(いずれも希望制)です。
「海外へ行くだけではなく、日本文化を改めて学び直したり、国内の最先端科学施設を訪れたりすることで、自国への理解と世界への視野を同時に育んでいます。さらにSUNプロジェクトでは、アメリカを訪れ、世界最先端の科学や国際社会に触れる機会も設けています」
こうした希望制プログラムの一方で、林校長が全児童に関わる取り組みとして特に手応えを感じているのが、オンライン国際交流です。
「午後学習を活用し、オーストラリアの姉妹校とオンラインでつなぎ、質問をし合ったり、お互いの文化を紹介し合ったりしながら、リアルタイムで交流しています。2025年度は40回以上実施できました。海外研修は希望制のため、参加できる児童は限られますが、この取り組みであれば、すべての児童が世界とつながる機会を持つことができます。今後も続けていきたいですね」
近年は円安や物価高騰の影響もあり、海外渡航のハードルは高まっています。
そうした社会情勢も踏まえながら、海外へ行くだけでなく、日常の中で世界とつながる機会を広げようとする姿勢からは、同校が持続可能な国際教育を模索していることがうかがえます。
日本再発見プロジェクト
SUNプロジェクト
外グローバルと内グローバル。2つの視点を大切に
同校では、グローバル社会で活躍できる人材の育成を教育の柱の一つに掲げています。
その実現に向けて、林校長が大切にしているのが、「外グローバル」と「内グローバル」という二つの視点です。
「これまでは、海外で活躍することが『グローバル』というイメージが強かったと思います。でも今は、日本の中にも外国の方が多く暮らし、さまざまな文化や価値観が共存する時代です。だからこそ、海外へ目を向ける『外グローバル』だけでなく、身近な多様性を理解し、異なる価値観を受け入れながら協働できる『内グローバル』の力も大切だと考えています」
こうした力を育む環境として、同校が児童数800名を超える関西有数の規模を誇ることは大きな強みだと林校長は話します。
「本校では、実にたくさんの子どもたちが学んでいます。当然、考え方の違いからトラブルが生まれることもあります。その中でどう関わり、どう乗り越えていくかが大切。日々の学校生活を通して、人を理解する力や協働する力を育んでいきたいと考えています」
その実現に向けて、林校長が大切にしているのが、「外グローバル」と「内グローバル」という二つの視点です。
「これまでは、海外で活躍することが『グローバル』というイメージが強かったと思います。でも今は、日本の中にも外国の方が多く暮らし、さまざまな文化や価値観が共存する時代です。だからこそ、海外へ目を向ける『外グローバル』だけでなく、身近な多様性を理解し、異なる価値観を受け入れながら協働できる『内グローバル』の力も大切だと考えています」
こうした力を育む環境として、同校が児童数800名を超える関西有数の規模を誇ることは大きな強みだと林校長は話します。
「本校では、実にたくさんの子どもたちが学んでいます。当然、考え方の違いからトラブルが生まれることもあります。その中でどう関わり、どう乗り越えていくかが大切。日々の学校生活を通して、人を理解する力や協働する力を育んでいきたいと考えています」
子どもの成長を支える教員研修
同校では、教師自身が学び続けることも欠かしません。
教科研修や研究授業を、年間を通して実施。授業を録画して振り返りを行うほか、指導教諭を招いて指導を受けるなど、初任者指導にも積極的に取り組んでいます。
全国や関西地区の私立小学校の研究会・研修会にも数多く参加しています。
「本校は、伝統的に研修への参加をとても大切にしており、他校と比べても、研修に参加しやすい環境が整っていると思います。また、本校は西日本私立小学校連合会などでも中心的な役割を担っており、教員が研究発表を任される機会も少なくありません。必然的に研修には力が入ります」
こうした研修や日々の実践を通し、長年培われてきた指導ノウハウは、学校行事にも生かされています。
例えば、5月に開催される体育大会。新学期が始まって間もない頃にも関わらず、他校の教員が見学に訪れるほどの高い完成度を誇ります。 限られた準備期間で子どもたちの力を引き出せるのは、教員間で蓄積された指導法があるからこそ。
林校長は「これまで積み重ねてきたノウハウが学校の財産になっています。そうした良い部分は、これからも大切に受け継いでいきたいですね」と力強く話します。
教科研修や研究授業を、年間を通して実施。授業を録画して振り返りを行うほか、指導教諭を招いて指導を受けるなど、初任者指導にも積極的に取り組んでいます。
全国や関西地区の私立小学校の研究会・研修会にも数多く参加しています。
「本校は、伝統的に研修への参加をとても大切にしており、他校と比べても、研修に参加しやすい環境が整っていると思います。また、本校は西日本私立小学校連合会などでも中心的な役割を担っており、教員が研究発表を任される機会も少なくありません。必然的に研修には力が入ります」
こうした研修や日々の実践を通し、長年培われてきた指導ノウハウは、学校行事にも生かされています。
例えば、5月に開催される体育大会。新学期が始まって間もない頃にも関わらず、他校の教員が見学に訪れるほどの高い完成度を誇ります。 限られた準備期間で子どもたちの力を引き出せるのは、教員間で蓄積された指導法があるからこそ。
林校長は「これまで積み重ねてきたノウハウが学校の財産になっています。そうした良い部分は、これからも大切に受け継いでいきたいですね」と力強く話します。
研究授業
体育大会
「小1の壁」を見据え、幼児教育との接続を大切に
同校では近年、英語教育を重視する幼稚園やインターナショナルスクールからの入学者も増えています。
そうした背景もあり、幼児期から小学校生活へのギャップ、いわゆる「小1の壁」への対応を重要なテーマとして捉えています。
「小学校生活にスムーズに移行できるよう、教員自らが幼児教育の現場へ足を運び、子どもへの接し方や指導法を学ぶ機会を設けています」と林校長。
インターナショナルスクールではネイティブ教員の指導を参観し、追手門学院幼稚園では15名以上の教員が分かれて保育を見学。幼児期ならではの発達段階や指導方法を学び、小学校での教育へ生かしています。
また、入学前には合格者を対象とした登校日を複数回設け、子どもたちが学校生活に少しずつ慣れていけるよう工夫しています。
保護者に対しても、入学までに身に付けておきたい生活習慣や家庭での関わり方をアドバイスするなど、学校と家庭が連携して子どもの新しい一歩を支える体制を整えています。
そうした背景もあり、幼児期から小学校生活へのギャップ、いわゆる「小1の壁」への対応を重要なテーマとして捉えています。
「小学校生活にスムーズに移行できるよう、教員自らが幼児教育の現場へ足を運び、子どもへの接し方や指導法を学ぶ機会を設けています」と林校長。
インターナショナルスクールではネイティブ教員の指導を参観し、追手門学院幼稚園では15名以上の教員が分かれて保育を見学。幼児期ならではの発達段階や指導方法を学び、小学校での教育へ生かしています。
また、入学前には合格者を対象とした登校日を複数回設け、子どもたちが学校生活に少しずつ慣れていけるよう工夫しています。
保護者に対しても、入学までに身に付けておきたい生活習慣や家庭での関わり方をアドバイスするなど、学校と家庭が連携して子どもの新しい一歩を支える体制を整えています。
取材を終えて
取材中、林校長は初等教育の役割について、サッカー日本代表・森保一監督の言葉を紹介してくださいました。
「森保監督が、日本代表が強くなった理由として、小学校や中学校、クラブチームなど、そこに至るまで育ててくれた人たちの存在があったことを挙げ、感謝の気持ちを話されていました。それを聞いて、初等教育はすぐに成果は見えませんが、子どもたちの未来を支える土台をつくる、とても大切な役割なのだと改めて感じました」
この林校長の言葉が表すように、同校の教育の根底には、子どもたちの何年先、何十年先もの未来を見据えた熱い想いがあります。
その想いが130年以上受け継がれ、今もなお新しい教育へと挑戦し続けていることこそ、同校の大きな魅力なのではないでしょうか。
「森保監督が、日本代表が強くなった理由として、小学校や中学校、クラブチームなど、そこに至るまで育ててくれた人たちの存在があったことを挙げ、感謝の気持ちを話されていました。それを聞いて、初等教育はすぐに成果は見えませんが、子どもたちの未来を支える土台をつくる、とても大切な役割なのだと改めて感じました」
この林校長の言葉が表すように、同校の教育の根底には、子どもたちの何年先、何十年先もの未来を見据えた熱い想いがあります。
その想いが130年以上受け継がれ、今もなお新しい教育へと挑戦し続けていることこそ、同校の大きな魅力なのではないでしょうか。








