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取材特集 帝塚山小学校  
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帝塚山小学校

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社会と連携協働することで生まれる深い学び

英語科・情報科の設立や産・官・学との連携協働授業など、先進的な取り組みを進める帝塚山小学校。
2020年の教育改革を見据え、今後の展開についてお話をお伺いしました。

 

 帝塚山小学校 校長 池田 節先生のお話

 

帝塚山小学校 校長 池田 節 先生
     

世界各地の英語ネイティブ講師と過ごす英語国内留学

2020年に完全実施される新学習要領では、「英語の必修化」「プログラミングの必修化」「社会に開かれた教育課程」という3つがテーマとなっています。公立小学校でも英語とプログラミングが必修化となりますが、私立の小学校としては、それに先行してどれだけ進めているかということがポイントとなってくると考えています。

 

まず、英語に関しては、従来より英語科を設立し、1年生から週2回の授業を行うほか、朝に10分のモジュール英語学習、全校が参加する英語発表会などを行ってきました。なかでも、本校の英語教育の特徴とも言える活動が、英語国内留学です。

海外留学を検討したこともあるのですが、かなり高額になることや安全性の面で、全員参加は厳しいと判断しました。しかし、生徒の英語力を全体的に底上げするには、全員参加が望ましいという観点から、国内留学を選択しました。京都にあるゴルフ場・レイクフォレストリゾートを貸し切って行います。費用面でも抑えられ、何よりも安全です。

現地に向かうバスに乗った瞬間から日本語を使うことは禁止され、滞在中はオールイングリッシュで過ごします。この英語国内留学のために、世界各国からネイティブ講師が集められます。ネイティブ講師たちの出身国は、キューバやフィリピン、南アフリカなど、通常の授業を担当する講師の出身国(アメリカ・イギリス)とは違う国になるように配慮しています。同じ英語でも国によってイントネーションが違うことを生徒は肌で感じてもらうためです。

生徒8人に講師1人の少人数制で授業が行われます。それぞれの授業では、スピーキングの速さを上げて、ネイティブの普通の会話に近いぐらいの速さで行います。講師たちに教えてもらうのは英語ではありません。英語は学校の授業で教わっているので、算数や理科、ダンス、音楽、工作などを英語で教わるのです。そして必ず講師たちの出身国の紹介もしてもらいます。他国の文化を知ることは、国際理解を深めることにつながります。

最初、子どもたちは萎縮してしまってなかなか気軽に話しかけられないのですが、最後には普通に話せるようになります。そういう経験を積むことで、“英語が話せたらどんな国の人ともコミュニケーションを取ることができる”ということを実感してもらえるのではないかと思います。

3〜5年生の全員参加で行いますが、3年生の段階では質問も出来なかった所からスタートして、4年5年とステップアップしていき、自分の意見を英語で発信できるようになっていきます。海外研修と比べても変わらない効果を上げることができていると自負しています。

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総合的な情報処理能力を身に着ける情報科

現在、高校で必修化されている「情報」。センター試験に代って導入される大学入試共通テストでも、2024年度から「情報」の出題が行われる予定です。それらを考えると、将来的に小学校でも情報科という科目が出来るのではないかと考えられます。それに先駆けて、当校では2016年度より情報科を設置。総合学習の時間の半分を英語、半分を情報の授業にあて、教科化しています。これほど力を入れて、情報教育に取り組んでいるのは、情報の授業を単なるプログラミング授業にしないためです。

ただプログラミングの技術を教えるだけの授業を行っても意味がありません。スマートフォンやタブレット、パソコンなど様々なICTの基本的な扱い方、ネット使用時の注意点など情報モラルや情報セキュリティといった総合的な情報処理能力を身につける中で、プログラミング教育を位置づけるようにしないと、結局は生徒たちが使える技能として定着しない。そう考え、1年生から毎週1時間、系統的に情報処理能力を取得するための授業を積み重ねています。

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最先端企業と連携し、個別最適化で学ぶプログラミング技術

情報科の授業は大学から情報専門の先生をはじめ外部講師を招いて、専門家に指導してもらっています。情報処理技能などの段階的な指導をしながら、プログラミングについても、1年生は文科省のプログラミン、次にスクラッチと少しずつステップアップしていきます。5・6年生になるとProgLabによる当校オリジナルプログラムでロボット作りを行ったり、音楽科の発展授業としてヤマハのボーカロイドで作曲にもチャレンジしています。

   

また2018年度は、4年生で新しい取り組みとして、小学生向けプログラミング教育事業を展開するCAテックキッズと協力し、オンライン学習サービス「QUREO(キュレオ)」を用いたプログラミング反転授業を開始しました。
反転授業とは家庭での学習を授業に活かすスタイルで、それぞれが自分のスピードで習熟度に合わせて進められるという“個別最適化”された学びが得られると実感しています。

このように、専門的な指導者と先進的な企業との連携のもと、情報科では、現段階で文部科学省が示す小学校におけるプログラミングに関するすべての学習活動を網羅しています。

生徒たちは情報科の授業が大好きで、授業中は楽しみながら集中して取り組んでいます。こういった日々の学習の積み重ねが、2018年8月に行われた自律型ロボットによる国際的なロボットコンテスト「WRO Japan 2018」の奈良県大会において、ミドル部門およびエキスパート部門のW優勝という結果に繋がったのではないかと思います。

 
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産・官・学と連携した出張授業

学校というのは閉ざされた社会です。生徒たちはいつも同じ友達と先生としか接することがなく、なかなか目が学校外に向くことがありません。しかし学校の中のことだけを見て過ごしていたら、社会の変化に対応できる能力を身につけることはできません。
目を社会に向けて、自分の今学んでいることが、どう社会に生かせるのか、自分の将来に生かせるのかを、生徒たち自身に考えさせながら学ばせることが大切だと考えています。そこで、産業界・行政・大学と連携した、新しいカリキュラムを組んでいくことを積極的に行っています。

先ほどお話しした英語国内留学でも、質の良い外国人講師を派遣してもらうために専門の企業と連携、プログラミングの授業でも最先端企業と協働で行っています。

2018年度は財政金融教育にも力を入れていて、近畿財務局による財政教育、金融庁・りそな銀行による金融教育、納税局の納税教育を行いました。

選挙権年齢が18歳に引き下げられ、子どもの頃から世の中の仕組みについて教える必要性が増しました。納税教育では税金がなかったら、橋や病院が壊れたらどうするかを考えさせますし、金融教育ではお店屋さんごっこを通じて、お金は流通しているということを生徒たちに実感してもらいます。財政教育では、国家予算の使い方を生徒たちに考えさせ、社会保障費や防衛費などの予算の振り分けをタブレットを用いてプレゼンさせます。
出張金融教育を通して、実感の湧きにくいお金について真剣に考える時間を持ち、小学生から少しずつ考えさせることが大切だと考えています。

教科書に書いてあることをただインプットするだけでは、社会に出たときに課題を解決できる人間にはなれません。アウトプットする力を付けること。課題について、少なくとも正解ではないけれど、納得解を導くだけの力を付けるために、学校で試行錯誤をさせなければなりません。この出張授業は、世の中の何が課題で、それを自分はどう解決するかを考えられる良い試行錯誤の場となっています。

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卒業生による外部講師講演会

上記のような、外部から講師を招いての学年限定の出張授業のほか、全校を対象とした外部講師講演会も数多く開催しています。

生徒たちにとって外部講師は新鮮な存在です。とても興味を持ち、その話から多くの刺激を受け、世の中の仕組みや仕事について知るキャリア教育にもなっています。外部講師講演会は卒業生によるものも多いので、生徒もより関心を持ちやすく、自分の将来について具体的な想像に繋がります。

2018年度は、墨・文具メーカー「呉竹」元社長や全国規模で展開する和雑貨店「中川政七商店」会長、京都大学高等研究院の特定助教であるリングホーファー萌奈美さんなどの卒業生に講演していただきました。通常の先生と生徒という縦の関係だけでない、知らない大人と生徒という斜めの関係が生まれます。そこに新たな学びがあるのです。これからもどんどん外部講師講演会を企画し、将来への種まきを進めていきたいと考えています。

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“オールインワン”を目指すアフタースクール

2018年度で2年目となるアフタースクールは、駅前のビルのワンフロアを貸し切って行っています。当校の生徒しか預からず、学校側から生徒の既往歴やアレルギーに関する情報を提供するなど、安心して通っていただける環境が整っています。また学校外で行っているので、学校と違う環境でリフレッシュできると生徒たちにも好評です。

内容については、スポーツ系のプログラムを増やして欲しいというニーズが多く、サッカー教室と体操教室を増やしたほか、次年度からはチアダンスや英語で行うサッカー教室も検討しています。子どもの満足度も高く、サッカー教室は2本立てで行うほど人気です。また、塾的な教育も施して欲しいというニーズも高まっていますので、今後、国語や算数などの教科の講座にも力を入れていく予定です。

卒業生の母親がスタッフとして参加しているのも、安心して利用していただける理由のひとつです。学校の行事や学年ごとのカリキュラムを保護者視点から把握しているので、保護者からの様々な質問にも対応できます。進路についても、利害関係なく相談できるというメリットもあります。

アフタースクールは単なる預かりではなく、付加価値のある預かり=“オールインワン”を目指し、展開していきます。学校に朝送り出せば、授業の後、アフタースクールで学校の宿題を終え、サッカーや塾的教育などの習い事をし、18時30分になれば定期券でいつものルートで電車に乗って帰ってくる。必要なことはすべて行ってきているので、家に帰れば夕ご飯を食べて、お風呂に入るだけ。お迎えに行く必要もありません。
アフタースクールを利用する人数が増加傾向にあるのも、“オールインワン”の安心や便利さへの保護者の評価だと受け止めています。

今の社会に必要な知識を教えるだけでなく、これからの子どもたちの時代を切り開く力を育むために、学校教育において、どのような資質・能力を学べばいいのかを、学校と社会が共有の上、連携協働することが重要であると感じます。目先の成果にとらわれず、10年先、20年先に幹を太らせ、天空に枝を広げ、無限の可能性に向かって伸び続ける子どもを育てたい。教職員一人ひとりがそんな熱い思いをもって、これからも子どもたちに向き合っていきます。

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