取材レポート

百合学院小学校

「ただいま!」と帰れる安心の放課後。多彩な学びと体験を通して、児童一人ひとりの成長を支える「ナザレトクラブ」

放課後の時間をどのように過ごすかは、保護者にとって大きな関心事の一つです。百合学院小学校では、授業後の時間も大切な教育と捉え、学童保育「ナザレトクラブ」を通して児童の成長を支えています。共働き家庭が増えるなか、安心して預けられる環境はもちろん、児童がさまざまな学びや体験に触れながら、有意義な時間を過ごせることも求められています。ナザレトクラブは、単なる預かりの場ではありません。宿題や自習に取り組み、異学年の仲間と交流し、多彩な習い事に挑戦できる環境が整っています。今年度から、運営を外部委託による新体制へ移行しましたが、これまで培ってきた温かな雰囲気や手厚い見守りは変わりません。今回は、教頭の赤松武仁先生に、ナザレトクラブの魅力や、そこに込められた思いについてお話を伺いました。

百合学院小学校 教頭 赤松武仁先生のお話
教頭 赤松武仁先生

教頭 赤松武仁先生

百合学院小学校 教頭 赤松武仁先生のお話

放課後も教育の一環。新体制でさらに充実した環境へ

今年度から、ナザレトクラブの運営は外部の専門事業者へ委託されました。こう聞くと、「これまでのアットホームな雰囲気が変わるのでは?」と感じる方もいるかもしれません。しかし実際に、これまで児童たちを見守ってきたスタッフの多くが継続して関わっており、運営体制以外に大きな変更はありません。

これまでは、ナザレトクラブに教員が直接関わっていましたが、この役割をバトンタッチしたことで、教員たちが日中、授業や児童と向き合う時間に、精神的・時間的なゆとりを持てるようになりました。

赤松教頭先生は、「教員がよりこまやかなケアや授業準備にエネルギーを注げるようになり、結果として児童たちにより良い影響が届いていると感じています」と話します。

昨年から1年をかけて慎重に準備を進めてきたこの取り組みでは、運営の仕組みをブラッシュアップさせながらも、アットホームな雰囲気はこれまでと同じです。 放課後になると、「ただいま!」とナザレトクラブの教室へ元気に戻ってきます。

児童たちの「好き」を伸ばす多彩な講座

ナザレトクラブでは、放課後の時間を活用してさまざまな講座を受講することができます。

ピアノや声楽、チアダンス、書道、プログラミング、レプトン英語教室など、多彩な講座が用意されており、児童一人ひとりの興味や関心に合わせて選択できます。学校にいながら、そのまま習い事に参加できるため、保護者が送迎負担を軽減できることも大きな魅力です。その利便性を活かし、平日のほぼ毎日講座を受講している児童もいるそうです。

また、講座の時間以外には宿題や自習に取り組んだり、異学年の児童同士で交流したりする姿も見られます。学びの時間と自由に過ごす時間の両方が確保されていることも、ナザレトクラブならではの特徴です。

取材当日は、チアダンス、書道、プログラミングの講座を見学しました。

書道教室では、児童たちが静かな空間の中で黙々と筆を走らせていました。作品を書き上げると、「先生、添削お願いします」と手を挙げ、先生からのアドバイスに、真剣な表情で耳を傾けています。一文字一文字と丁寧に向き合う姿からは、集中して取り組むことの大切さが自然と身についていることが感じられました。

一方、プログラミング講座では和やかな雰囲気の中で学びが進められていました。今年度よりノートパソコンが導入され、指導者が児童一人ひとりの学習状況を把握しやすい環境が整っていました。児童たちは友達同士で相談しながら楽しそうに活動していました。

静かに集中する書道と、仲間と協力しながら学ぶプログラミング。同じ放課後の時間でありながら、そこにはまったく異なる学びの風景が広がっていました。児童たちが自分の「好き」や「得意」を見つけながら過ごしている様子が、とても印象的でした。

保護者の声から生まれた「図形の極み」

今年度から新たに加わった講座が、玉井式「図形の極み」です。立体図形や展開図などをアニメーション教材を使いながら視覚的に学んでいきます。図形の動きや変化を映像で確認しながら学ぶことで、頭の中で図形をイメージする力である空間認識力や、筋道を立てて考える論理的思考力を育てます。

算数の学習につながる力だけでなく、将来さまざまな場面で必要となる「考える力」を養う講座として期待されています。この講座は保護者アンケートをきっかけに導入されたそうです。保護者の声をしっかりと聞き、環境づくりを進めていることが伝わってきます。

憧れの先輩へと続くチアダンス

数ある講座の中でも高い人気を集めているのがチアダンスです。取材当日も、児童たちはアリーナで元気いっぱい楽しそうに体を動かしていました。

小学校のチアダンスには、百合学院中学校・高等学校のチアダンス部に関わる指導者が携わっています。世界レベルの指導を身近に受けられることも、この講座の大きな魅力です。今年4月、中学のチアダンス部は日本代表として世界大会へ出場し、アメリカに次ぐ第2位という成績を収めました。世界の舞台で活躍する先輩たちの姿は、小学生たちにとって大きな憧れです。さらに、その指導者から直接学べることも百合学院ならではです。児童たちが憧れの先輩を目標に活動できる環境が整っており、意欲をさらに高めているようでした。

「小学校のチアダンス講座から中学校のチアダンス部へ進む児童もいます」と赤松教頭先生は話します。

毎年3学期に、併設幼稚園との発表会が開催され、中高生もお手伝いとして参加してくれます。憧れの先輩たちの演技を間近で見ることができる環境は、児童たちにとって大きな刺激となっているようです。

人気を集めるレプトン英語教室

ナザレトクラブの講座の中で、最も多くの児童が受講しているのがレプトン英語教室です。

レプトンは、一斉授業ではなく、一人ひとりが自分の進度に合わせて学習を進める個別学習型の英語教室です。CD教材を活用しながら、「聞く・話す・読む・書く」の4技能をバランスよく身につけていきます。

児童によって進度が異なるため、自分のペースで学習できることが特徴です。週2回受講する児童もおり、着実に英語力を伸ばしています。また、レプトン受講者を中心に「JET(ジュニアイングリッシュテスト)」の受験も推奨されており、継続して学ぶことで、自分の成長を実感しながら英語力を伸ばしていくことができます。

長期休暇も充実した学びと体験の時間に

ナザレトクラブは、夏休みなどの長期休暇中も利用することができます。8時から17時まで預かりを行っており、多くの児童が夕方まで学校で過ごしています。

宿題や学習に取り組む時間だけでなく、水遊びや工作、校外へ出向いた体験活動も実施されています。昨年度は、神戸市内の科学館への見学や水鉄砲づくりのワークショップなども行われました。暑い日には中庭に大きなプールを設置して水遊びを楽しむなど、児童たちが毎日を楽しみにできる工夫が随所に見られます。

長期休暇中も安心して利用できる体制が整っています。

安心・安全な放課後を支える連携

「安心・安全があってこそ、児童たちがいろんなことを楽しんで、力を伸ばしていける」

これは赤松先生が最も大切にしている考え方です。

私立小学校には広い通学圏から児童が集まるため、通学時間が長くなる児童も少なくありません。児童が安全に下校できるよう、万全のフォロー体制が整えられています。特に、運営会社と教員による「下校時間の綿密な情報共有」です。

そうした取り組みの一つが、 長期休暇中も含めて運行されるスクールバスです。阪急園田駅、JR尼崎駅、阪神尼崎駅、阪急伊丹駅や尼崎市内の住宅地と学校とを、朝も帰りも結んでおり、お迎えに行くことが難しい日でも、児童が安心して登下校できる環境が整っています。

「小学生にとって、登下校の安全は命に関わる最重要事項です。ナザレトクラブを利用する児童は、習い事の受講数などによって一人ひとり下校時間が毎日異なります。『今日は誰が何時に帰るのか』『バスなのか、保護者お迎えなのか』を、運営スタッフと教員との間で行き違うことなく着実に連携することが必須です。密なコミュニケーションを大切にしています」とおっしゃいました。

放課後の時間を安心して過ごせる環境があるからこそ、児童たちはさまざまなことに挑戦し、自分らしく成長していくことができます。ナザレトクラブには、児童一人ひとりを大切に見守り、その可能性を伸ばそうとする百合学院小学校の温かな教育の姿勢が息づいていました。

まとめ

今回の取材で印象的だったのは、ナザレトクラブが単なる「放課後の預かりの場」ではなく、児童たちの成長を支えるもう一つの学びの場になっているということでした。

書道教室では真剣な眼差しで取り組んでいる姿が見られ、プログラミング講座では、友達同士で相談しながら楽しそうに活動する様子が印象的でした。また、チアダンスでは、世界大会で活躍した中高生を導いた指導者によるレッスンが行われており、児童たちが憧れの先輩を目標に活動できる環境が整っていました。自分の好きなことや興味のあることに夢中になる児童たちの姿からは、同校らしい温かな校風が感じられました。

何より心に残ったのは、赤松教頭先生のお話から伝わってきた「児童たちの成長の土台となるのは安全な環境である」という思いです。新しい体制となっても、児童たちの安全を守るための連携を大切に、教員とスタッフが日々丁寧にコミュニケーションを取りながら見守っている姿勢に、学校としての責任感と信頼を感じました。

共働き家庭が増え、放課後の過ごし方は学校選びの重要な要素の一つになっています。その中で、児童が安心して過ごせる居場所があり、多彩な学びや体験に挑戦できる環境が整っていることは、保護者にとって大きな安心につながるでしょう。

放課後になると児童たちが自然と「ただいま」と帰ってくるナザレトクラブ。その言葉には、この場所が児童たちにとって安心できる居場所であり、第二の家のような存在になっていることが表れているように感じました。児童一人ひとりの可能性を大切に育み、その成長を温かく見守る百合学院小学校の教育の姿勢は、児童たちの「ただいま」が響く放課後の風景にも確かに表れていました。

取材協力

百合学院小学校

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