取材レポート

百合学院小学校

まっすぐに輝ける場所へ!新校長上村智先生と歩む、百合学院小学校の新たな一歩

全国にわずか23校しか存在しない女子だけの小学校。カトリックの理念に基づき、70年以上にわたり女子教育を実践してきたのが、百合学院小学校です。この4月に校長に着任された上村智校長先生は、長年にわたって長崎県の公立小学校で教職に携わり、五島列島をスタートに長崎県内各地で教員・管理職として勤務されてきたご経験の持ち主。定年を機に地元関西へ戻られ、大阪の公立小学校でも教頭補助として勤務されたのち、この春から百合学院小学校の校長として新たな一歩を踏み出されました。女子教育の魅力、これからの時代に合った教育など、あたたかな先生の人柄とともに、百合学院小学校の特色をご紹介します。

百合学院小学校 校長 上村智先生のお話
校長 上村智先生

校長 上村智先生

百合学院小学校 校長 上村智先生のお話

一人ひとりが主役になれる女子教育

「男女共学だと、リーダーはどうしても男の子になりがち。でも、ここでは女の子が自信をもって前に出ることが当たり前の環境です。『やってみたい!』と手をあげた児童がリーダーになれます」上村校長先生が着任して強く感じたことの一つだそうです。

体育や音楽、美術などリーダーを育てるさまざまな場面で、チャンスが全員に巡り、「得意分野」で輝くことができる環境です。実際に在籍している児童たちは、とにかく活発で、元気いっぱい!これからの時代にぴったりの児童たち。体育の時間には運動場を元気に駆け回り、休み時間には校長室にふらっと立ち寄っておしゃべりを楽しむ姿も。児童の明るく生き生きとした姿に目を細めながら、上村校長先生は語ります。日々の学校生活の中で、自分の意見を伝え、周りの友達と協力し合う力を日々育んでいます。

校長室がみんなの『サロン』に!?

着任されて間もない上村校長先生ですが、児童から大人気のもう一つの顔があります。それがマジシャンとしての姿。かつては福祉施設などでボランティアとしてマジックを披露していたほどの腕前。校長室では、ジャグリングや皿回し、手品などを児童に教えているそうです。

「校長室には、毎日のように気軽に児童たちが遊びに来ます。低学年も高学年も関係なく、話したいときにふらっと来て、手品で遊んで、まるで『サロン』のような空間です(笑)。少しほっとしたり、気分転換したりして、また教室に戻っていきます」

校長先生と児童との関係は、まるで家族のような温かさ。名刺交換の場面では、なんと表面にエビピラフの食品サンプルが貼られた名刺入れを出されるというユニークな一面も。思わず笑みがこぼれるような、親しみやすいお人柄です。

「PURITAS ET CHARITAS」まごころと思いやりを育てる

百合学院の教育理念の中心にあるのが、創立者である田口芳五郎枢機卿が掲げた「PURITAS ET CHARITAS(純潔と愛徳)」の精神、すなわち「物事への二心のないひたむきなまごころを持ち、他者を配慮し思いやり奉仕する」ことを意味します。この深い理念は、日々の教育活動の中で児童たちに丁寧に伝えられています。自分のことだけに夢中だった児童たちが、次第に周りに気がつき、他の児童にそっと手を差し伸べる姿も増えてきたそうです。先生が一つひとつの行動を丁寧に指導し、児童が実践しているからこそ、学校全体が一体となって児童の「心」を育てている様子がうかがえます。

百合学院の3つの特色

〈スクールバス:4路線による安心・安全な通学〉
百合学院小学校の大きな魅力のひとつが、充実したスクールバスの運行体制です。通学ルートは4コース用意されており、駅からの直通便や住宅地を巡回する便も。通学が難しかった地域からも多くの児童が通い、広範囲から通学を可能としています。昨今、子どもを取り巻く安全への関心が高まる中、「登下校の安心感が抜群」として保護者から高い支持を得ています。

〈英語教育にも本気! 放課後も伸ばせる実践的英語力〉
百合学院では、日常的に英語に触れる環境が整っています。授業では、週の英語の授業に加え、総合的な学習の時間を活用して英語に親しむ時間を確保。さらに、放課後には「レプトン英語教室」が開講されており、TOEICやTOEFLなどの検定対策も可能です。また、英検対策講座も実施しており、英検5級から2級まで毎年多くの児童が成果を上げています。全校朝会では英語での司会を導入するなど、児童が英語を学ぶだけでなく、使う機会が数多く設けられているのも特徴の一つです。

〈ナザレトクラブ:学童も習い事も学校で完結!〉
「子どもが下校後に、習い事へ送迎するのが大変」といった保護者の声から生まれた『ナザレトクラブ(放課後学童保育)』は、まさに現代のライフスタイルに合わせた学びの形です。授業が終わったあとも、学童保育と習い事がすべて学校内で完結。お茶・お花・ダンス・そろばん・書道・英語教室など、幅広いジャンルの習い事が校内で受けられるため、保護者の送迎の負担もありません。スクールバスで通学し、学校で授業・習い事を済ませて帰宅できるという「ワンストップの学び環境」は、共働き家庭からも高い支持を得ています。

学院全体での連携と改革、教育の質の向上

百合学院は、ナーサリー(0歳)から高校(18歳)までを一貫して学べる総合学院です。現在、学年や部門を超えた連携を強める取り組みが進められており、今年から始まったのが、「交流給食」。5年生と幼稚園の年長児、4年生と年中児が一緒に食事をすることで、下級生のお世話が必然となり、自己有用感を育む機会となっています。他にも、中学校の教員が小学校で授業を行い、また、小学生が中学校の授業を体験するなど、「縦の連携」を意識した活動も計画中。児童・生徒がそれぞれの段階で安心して次のステージへ移行できるよう、学院全体で見守る体制を構築しています。

「私立には私立の良さがたくさんありますが、公立でできることが私立では実践が難しいこともあります。その部分を見極めて補うことが私の大きな役目です」と上村校長先生は語ります。

公立学校での長年の経験を活かして、百合学院の教育に新たな風を吹き込み前進しています。また、教員研修制度の充実に取り組み、先生の指導力向上にも力を注いでいます。さらに、保護者との関係を築くため、「校長だより」も毎月発行。デジタルではなく紙での配布を徹底し、手に取って確実に読んでもらえるよう工夫されています。

「私がやるべきことは、児童たちの力を引き出しながら、真面目に頑張る教員たちの力も引き出すこと」と上村校長先生は熱く語ります。

児童の成長、教員の育成、保護者との信頼関係、すべての土台にあるのは、「純潔と愛徳」の精神です。

「今まさに新しい時代に向けて生まれ変わろうとしています。心を育て、学びを深め、多彩な可能性を引き出す教育を。これからの女の子たちが自信を持って未来を歩いていけるよう、力強く寄り添っていきます」と上村校長先生は締めくくられました。

取材を終えて

終始とても明るく、ユーモアを交えながらインタビューに応じてくださった上村校長先生。そのお人柄からは、人を惹きつける魅力があふれていました。着任すぐにもかかわらず、すでに児童たちからは大人気。低学年はもちろん、思春期に差し掛かる高学年の女子児童までもが、先生の温かさと楽しさに心をつかまれている様子でした。公立小学校での豊富な経験に加え、アマチュアマジシャンとしての一面や電気設備士の資格を持つなど、とても多才で器用な先生。お話の端々からそのユニークさが伝わってくる一方で、児童や教職員のことを常に第一に考え、学院全体を丁寧に、そして確実に改革へ導いている姿勢が印象的でした。これからますます進化していく百合学院小学校に、大きな期待を寄せています。

取材協力

百合学院小学校

〒661-0974 兵庫県尼崎市若王寺2-18-2   地図

TEL:06-6491-7033

FAX:06-6491-2229

URL:https://elem.yuri-gakuin.ac.jp/

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