近畿大学附属小学校
AI時代に必要な「伝える力」を育む近小の“言葉の教育”とは
ICTを活用した先進的な教育と、本物にふれる伝統的なプログラムの両方を軸とする近畿大学附属小学校。iPadを活用した学びや探究活動など、時代の先を見据えた教育を展開する中でも、同校が一貫して大切にしているのが「言葉の力」です。
AIの進化により、答えを得ることが容易になった今、問われているのは「自分で問いを立て、それをどう伝えるか」。その根幹となる「言葉の力」の育み方や日々の実践について、教頭の竹下仁章先生にお話をうかがいました。
近畿大学附属小学校 教頭 竹下仁章先生のお話
AIの進化により、答えを得ることが容易になった今、問われているのは「自分で問いを立て、それをどう伝えるか」。その根幹となる「言葉の力」の育み方や日々の実践について、教頭の竹下仁章先生にお話をうかがいました。
近畿大学附属小学校 教頭 竹下仁章先生のお話
教頭 竹下仁章先生
近畿大学附属小学校 教頭 竹下仁章先生のお話
日々の学びの中で、言葉の土台を育む
近畿大学附属小学校は、先進的なICT教育と伝統的な教育プログラムの両輪で学びを支えています。総合大学である近畿大学の附属校という強みを活かし、「本物にふれる教育」も授業の中で実践。自ら感じ、考え、行動する体験を重視して子どもたちの「心が動く」瞬間を創り出し、感動や気づきが自然と言葉になるよう導いています。
授業では、先生が黒板に書いたことはもちろんですが、児童は自分で調べたことを整理し、見出しや図、イラストを加えたり、時には動画を制作したりしながら、ノートやiPadに編集するようにまとめます。調べ方も一つではなく、書籍、動画、インターネットなど、必要に応じて自由に組み合わせます。竹下先生は「学び方は児童によって違っていい。でも最後は自分の言葉でまとめることを大切にしています」と話します。こうした日常の学びの中で、情報を整理し、自分の考えとして再構成する力が育まれています。
また日々の授業で、とくに大切にしているのは「振り返り」です。それぞれの授業の終わりには、「今日の学び」や「できるようになったこと」を言葉にして記録する時間が設けられています。
「授業で学ぶだけで終わるのではなく、自分が何を感じて、何ができるようになったのかを言葉にすることで、気づきや次の学びにつながるようになっています」と竹下先生は話します。
先生方は振り返りの言葉から、児童の気づきや感動といった「心が動いた瞬間」を丁寧にすくい上げ、それを活かして次へ導けるようコメントや声がけなどで工夫を重ねています。このような振り返りを積み重ねる中で、児童は成長を実感し、学びを定着させていきます。
振り返りの効果は家庭でも。保護者からは「今日はこんなことを学んだ」と児童が具体的に話せるようになった、学校での様子がよくわかるようになったとの声が上がっているそうです。家庭で学校や授業の話題が増えることは、学びへの積極性の醸成にもつながっています。
授業では、先生が黒板に書いたことはもちろんですが、児童は自分で調べたことを整理し、見出しや図、イラストを加えたり、時には動画を制作したりしながら、ノートやiPadに編集するようにまとめます。調べ方も一つではなく、書籍、動画、インターネットなど、必要に応じて自由に組み合わせます。竹下先生は「学び方は児童によって違っていい。でも最後は自分の言葉でまとめることを大切にしています」と話します。こうした日常の学びの中で、情報を整理し、自分の考えとして再構成する力が育まれています。
また日々の授業で、とくに大切にしているのは「振り返り」です。それぞれの授業の終わりには、「今日の学び」や「できるようになったこと」を言葉にして記録する時間が設けられています。
「授業で学ぶだけで終わるのではなく、自分が何を感じて、何ができるようになったのかを言葉にすることで、気づきや次の学びにつながるようになっています」と竹下先生は話します。
先生方は振り返りの言葉から、児童の気づきや感動といった「心が動いた瞬間」を丁寧にすくい上げ、それを活かして次へ導けるようコメントや声がけなどで工夫を重ねています。このような振り返りを積み重ねる中で、児童は成長を実感し、学びを定着させていきます。
振り返りの効果は家庭でも。保護者からは「今日はこんなことを学んだ」と児童が具体的に話せるようになった、学校での様子がよくわかるようになったとの声が上がっているそうです。家庭で学校や授業の話題が増えることは、学びへの積極性の醸成にもつながっています。
「心が動く」瞬間を創る多彩なプログラム
近小では、宿泊研修などの行事を通して「本物にふれる体験」を大切にしています。たとえば1年生の10月に実施される信貴山学舎での宿泊行事は、親元を離れて友人や先生と一緒に生活をします。家庭とは異なる環境での挑戦は、子どもたちの心を大きく動かし、印象深い体験となります。その気づきや感動を日記や振り返りとして言葉にすることで、学びがより深まっていきます。
また行事はもちろんですが、近小には四季折々の自然が楽しめる校庭のビオトープや、近畿大学との連携授業など、「本物にふれる体験」が豊富に用意されています。体験によって生まれた感情や気づきが、豊かな言葉の力として育まれる環境が整えられており、1年生から「自分の言葉」を大切にする姿勢を大切にしています。
近小エキシビションで育つ“伝える力”
「言葉の力」を育む教育の集大成ともいえる取り組みが「近小エキシビション」です。3年生と6年生による発表の場で、児童が自らテーマを設定し、調べたことをポスターにまとめ、来場者に向けてプレゼンテーションします。
6年生は、自分の興味・関心をもとにテーマを設定します。アニメやスポーツ、社会問題など多様なテーマをそれぞれに取り上げました。なかには「社会の矛盾」について考察した児童も。「『テストって何のためにあるんだろう』という疑問から調べ始めました。プレゼンでは『自分の力を数値化できるのはわかるけど、それでも必要なのかなぁ』というところまで考えていて、感心しました」と竹下先生。
一方、3年生は「学校の魅力」をテーマにグループで活動します。質問内容を自分たちで考え、教員へのインタビューなどを通して学校の魅力を深掘りし、自分たちが知らなかった近小について調査して発表しました。「こちらの校舎ができる前の近小について調べていたグループがあって、大きさを比較するなど、気づいたら私も一緒に熱中していたこともあったくらい面白い活動になりました」と大人を巻き込むほど、児童たちの積極的な取り組みが見られました。
発表形式は、体育館やアリーナに模造紙を掲示し、来場者に説明するポスターセッション形式。保護者や他学年の児童が訪れ、児童は自分の言葉で伝えます。
普段はiPadを使って表現する機会も多い近小ですが、このエキシビションではあえて模造紙を使用。構成を考え、写真や図、イラストを使いながら、手書きでまとめます。あえてアナログの模造紙に表現することで、自分の思いをどう伝えるかをより深く考える機会になったとのこと。力作が並んだポスターセッションに来場された保護者の方々も熱心に見入って、質問も活発に行われました。
自分の興味から始まった学びが、「伝えたい」という気持ちへと変わり、言葉となって表現されていく。そのプロセスこそが、子どもたちの表現力を大きく育てています。
6年生は、自分の興味・関心をもとにテーマを設定します。アニメやスポーツ、社会問題など多様なテーマをそれぞれに取り上げました。なかには「社会の矛盾」について考察した児童も。「『テストって何のためにあるんだろう』という疑問から調べ始めました。プレゼンでは『自分の力を数値化できるのはわかるけど、それでも必要なのかなぁ』というところまで考えていて、感心しました」と竹下先生。
一方、3年生は「学校の魅力」をテーマにグループで活動します。質問内容を自分たちで考え、教員へのインタビューなどを通して学校の魅力を深掘りし、自分たちが知らなかった近小について調査して発表しました。「こちらの校舎ができる前の近小について調べていたグループがあって、大きさを比較するなど、気づいたら私も一緒に熱中していたこともあったくらい面白い活動になりました」と大人を巻き込むほど、児童たちの積極的な取り組みが見られました。
発表形式は、体育館やアリーナに模造紙を掲示し、来場者に説明するポスターセッション形式。保護者や他学年の児童が訪れ、児童は自分の言葉で伝えます。
普段はiPadを使って表現する機会も多い近小ですが、このエキシビションではあえて模造紙を使用。構成を考え、写真や図、イラストを使いながら、手書きでまとめます。あえてアナログの模造紙に表現することで、自分の思いをどう伝えるかをより深く考える機会になったとのこと。力作が並んだポスターセッションに来場された保護者の方々も熱心に見入って、質問も活発に行われました。
自分の興味から始まった学びが、「伝えたい」という気持ちへと変わり、言葉となって表現されていく。そのプロセスこそが、子どもたちの表現力を大きく育てています。
読書と読み聞かせは「言葉の力」の土台に
言葉の力を育む取り組みとしては、読書習慣も重視しており、子どもたちが自然と本に親しめる環境づくりも大切にされています。図書室は校舎に入って靴を履き替えたら、すぐの目の前。本好きの児童の中には、登校したら本を返して、帰る時には一冊借りるというスタイルの子も。電車で通学をする児童には登下校中は本を読むことを推奨するなど、日常の動線の中で本に触れる機会が生まれるよう工夫され、“本を読むことが当たり前”という意識が自然と育まれています。
加えて大切にしているのが読み聞かせです。読み聞かせと聞くと、低学年向けの取り組みに感じますが、高学年でも取り入れるそうです。竹下先生自身もかつて6年生を担任していた時に、1カ月程かけて東野圭吾作『ナミヤ雑貨店の奇蹟』を読み聞かせしたそうです。連続ドラマのように少しずつ読み進め、「続きは明日」と区切ることで、児童は次第に物語に引き込まれていきました。最初は関心の薄かった児童も、「早く続きが聞きたい」と集中して耳を傾けるようになったそうです。彼らが卒業後、この作品の映画化が決まった際には、「先生、映画化されるよ」とわざわざ連絡をくれるなど、クラス全員でひとつの物語に熱中したひと時は、思い出深い読書体験となりました。
また読み聞かせの効果について、竹下先生は「難しい言葉でも読んでもらうことで、案外すっと入ってきます。意味がきちんとわからなくても、これはいい意味の言葉なんだなとか、悪い意味の言葉なんだなとか、文脈でわかるようになる」と話します。こうした経験が語彙や感覚の蓄積につながり、表現力を支える基盤になると説明されました。
加えて大切にしているのが読み聞かせです。読み聞かせと聞くと、低学年向けの取り組みに感じますが、高学年でも取り入れるそうです。竹下先生自身もかつて6年生を担任していた時に、1カ月程かけて東野圭吾作『ナミヤ雑貨店の奇蹟』を読み聞かせしたそうです。連続ドラマのように少しずつ読み進め、「続きは明日」と区切ることで、児童は次第に物語に引き込まれていきました。最初は関心の薄かった児童も、「早く続きが聞きたい」と集中して耳を傾けるようになったそうです。彼らが卒業後、この作品の映画化が決まった際には、「先生、映画化されるよ」とわざわざ連絡をくれるなど、クラス全員でひとつの物語に熱中したひと時は、思い出深い読書体験となりました。
また読み聞かせの効果について、竹下先生は「難しい言葉でも読んでもらうことで、案外すっと入ってきます。意味がきちんとわからなくても、これはいい意味の言葉なんだなとか、悪い意味の言葉なんだなとか、文脈でわかるようになる」と話します。こうした経験が語彙や感覚の蓄積につながり、表現力を支える基盤になると説明されました。
まとめ
今回はAI時代だからこそ必要とされる「言葉の力」の教育プログラムについて、近小の取り組みをご紹介しました。
AIが進化して、答えが一瞬で手に入るようになったからこそ、「答えを知ることよりも、自分で問いを持って調べていくことが大切です」と竹下先生は話されます。自分で疑問を持ち、考え、言葉にして伝える。このプロセスを積み重ねることで、子どもたちはAIを活用するための思考力を身につけていきます。
土台となる「言葉の力」を育むには、毎日の積み重ねが必要です。意識せずとも自然と身につけられる環境が整えられているのが、近小のプログラムだと感じました。
AIが進化して、答えが一瞬で手に入るようになったからこそ、「答えを知ることよりも、自分で問いを持って調べていくことが大切です」と竹下先生は話されます。自分で疑問を持ち、考え、言葉にして伝える。このプロセスを積み重ねることで、子どもたちはAIを活用するための思考力を身につけていきます。
土台となる「言葉の力」を育むには、毎日の積み重ねが必要です。意識せずとも自然と身につけられる環境が整えられているのが、近小のプログラムだと感じました。








