取材レポート

小林聖心女子学院小学校

AI時代に求められる人間力を育むために未来につながる新しい6つの取り組み

グローバル化やAIの進化など、急速な社会の変化により、子どもたちに必要となる力も大きく変わりつつあります。そんな時代だからこそ、小林聖心女子学院小学校では「人としてどう生きるか」を大切にした教育を大切にしてきました。

2026年度は、AI時代に活躍できる人間力の育成を目指した教育改革に加え、共働き家庭の増加など、現代の子育て環境にも対応した新たな取り組みをスタート。伝統あるカトリック女子教育の理念を軸としながら、進化を続ける6つの取り組みについて、副校長の和田りか先生、教頭の小林秀平先生、教務主任の大川尚輝先生にお話を伺いました。

小林聖心女子学院小学校 副校長 和田りか先生、教頭 小林秀平先生、教務主任 大川尚輝先生のお話

小林聖心女子学院小学校 副校長 和田りか先生、教頭 小林秀平先生、教務主任 大川尚輝先生のお話

「SQ対話型入試」を導入~AI時代だからこそ、一人ひとりの「種」を見つけたい

2026年度より、小林聖心女子学院小学校では、従来の入試スタイルを見直し、「SQ対話型入試」を導入します。SQとは、IQ(知能指数)やEQ(心の知能指数)に加えて、最近、フォーカスされるようになった言葉でSocial Quotient(社会的知能指数)を指します。正解のない課題に対して他者と対話しながら答えを生み出す力と言われ、AIが急速に進化する今だからこそ、人と協働する力(SQ)がますます重要になると考えられています。

これまでの面接は、保護者とお子様がともに着席し、お子様が質問に答える形式でした。しかし新しい入試では、親子で一緒に会話をする様子や取り組む活動を通して、その関わり方やお子様の自然な姿を確認します。

「以前、面接で緊張して泣いてしまったお子様がいらっしゃいました。まだ幼いからそんなことがあっても当然です。せっかく本校を受験してくださるのに、つらい思い出になってしまうのは申し訳ない。面接がご家族にとって幸せな時間になればいいなと思っています」と、和田副校長は入試改革の意図を語られました。

また、入試で重視したいことは、小学校入学のために完成された能力ではなく、子どもたちの中にある「種」と、和田副校長は言います。「種とは、その子の個性や興味関心、好奇心や思いやりなど、一人ひとりが持つ可能性のことです。成長のスピードも一人ひとり違います。早く伸びる子もいれば、ゆっくりと力を伸ばしていく子もいます。学校はさまざまな種が集まる場所。そして、それぞれが自分らしい花を咲かせるための土壌です。入試はゴールではなく、12年間の最初の1時間目。その子らしい可能性を見つけさせてもらいたいです」と話されました。
副校長 和田 りか先生

副校長 和田 りか先生

週1回の給食弁当がスタート~子どもたちの食育と保護者支援を両立 

共働き家庭の増加などを背景に、保護者の負担軽減を目的として、週に1回の給食弁当が5月からスタートしました。

小林秀平教頭は、「朝昼晩と栄養バランスを考えながら食事を準備するのは大変なことです。学校として少しでもご家庭を支えられればと考えました」と話します。導入された給食弁当は和食中心のやさしい味付けが特徴です。

【ある日の献立】
・白身魚の天ぷらソース ・さつまいも甘煮
・筑前煮
・春雨とわかめの酢の物
・大豆の煮もの
・ビーフンとベーコンのカレー風味

給食は栄養バランスに配慮されているだけでなく、季節を感じるさまざまな食材や味に触れてほしいという思いも込められています。おかずの品数も多く、児童の皆さんにも好評とのこと。「お弁当だと好きなものが中心になりがちですが、みんなで同じものをいただくことで、苦手なものにも挑戦しやすくなります」と共食のメリットも強調されました。

さらに給食には感謝の心を育む役割もあると話します。「本校には、以前、給食の時代がありました。食前・食後のお祈りを通して、食材を作る方や運んでくださる方など、目に見えない多くの人への感謝を育んでいました」と、当時のことをお話くださいました。給食弁当の導入には、同校が大切にしてきた感謝の心を育む精神も受け継がれています。
教頭 小林 秀平先生

教頭 小林 秀平先生

マイヤークラブを拡充~放課後も“小林聖心らしく”のびのびと

放課後の児童クラブ「マイヤークラブ」も大きく進化します。2026年度からは、民間学童保育の明光キッズが運営を担当することになり、放課後だけでなく、夏休み・冬休み・春休みなどの長期休業期間や創立記念日などの休校日も朝から利用可能になりました。民間学童サービスならではのノウハウを活かしながらも、今まで培われてきた小林聖心らしい温かな見守りを大切にした運営が行われています。

児童は30分の学習時間の後は、自然豊かなロザリオヒルで思い切り遊びます。今後は英語やダンスなど、楽しみながら参加できるプログラムの導入が予定されています。さらに夏休みには和歌山でのキャンプも企画されており、学校生活では味わえない体験の場も広がるとのこと。保護者の安心と子どもたちの豊かな放課後。その両方を実現する新しいマイヤークラブに期待が高まります。

「今の子どもたちは習い事や予定で忙しい毎日を送っています。だからこそ、友だちと自由に遊んだり、ほっと一息つけたりする環境づくりを大切にしたい」と、小林教頭先生はマイヤークラブへの思いを話してくださいました。

英語教育課程特例校としてさらに進化

2025年、小林聖心女子学院小学校は文部科学省の英語教育課程特例校に指定されました。
※詳しくはこちらの特集「取材レポート」をお読みください。
小林聖心女子学院小学校 の取材レポート - 小学校受験の「お受験じょうほう-関西版-」
https://www.oby-sacred-heart.ed.jp/topics/2026/05/20134/

大川尚輝先生は、「新しいことを始めたというよりも、これまで積み重ねてきた小林聖心女子学院独自の英語教育をさらに磨き上げていくプログラム」と話します。主な取り組みは次の5つです。

1.スプリット授業(individual approach):クラスを半分に分けた少人数制。ネイティブ教員と日本人教員が週1回ずつ交互に担当し、リスニング・スピーキングの機会を増やします。

2.5年生からの文法授業:中学生向け教科書「ニュートレジャー」を使い、文法の基礎を少人数クラスで丁寧に指導。中学1年生の授業へスムーズに接続します。

3.SMILE Time(Seishin Module I Love English Time):日常的な英語学習をさらにステップアップさせる時間を設けています。

4.Advanced English(英語保持クラス):海外在留・帰国子女などの英語力を継続的に維持・向上させるため、ネイティブ教員が放課後に指導します。

5.English Masters(5年生以上):実践的な英会話能力の育成、発展的なプログラムも充実しています。

なかでも特徴的なのがスプリット授業です。クラスを半分に分け、ネイティブ教員と日本人教員が連携しながら授業を展開。一人ひとりの発音や理解度に応じた丁寧な指導で、英語に自信が持てるように導きます。

同校が目指しているのは、英語を学ぶことではなく、英語を使って人とつながること。「英語は道具です。自分の考えや日本の文化を伝え、世界の人とつながるための力として育てていきたいです」と大川先生は話してくださいました。12年間の一貫教育だからこそ実現できる小林聖心式の英語教育が、さらに進化しています。
教務主任 大川尚輝先生

教務主任 大川尚輝先生

デュシェーン班活動~異学年交流がさらにパワーアップ!

1年生から6年生までの縦割り班活動「デュシェーン班」は、今までにも長く実施されてきました。1班16〜17人で構成され、全部で18班。日常的に縦割り掃除やデュシェーン班ランチなどを行い、学年を超えた交流を育むプログラムです。

2026年度は、その活動のひとつだった縦割り遠足が大きくリニューアルされます。これまでは全員で同じ場所へ行っていましたが、今年からは6年生が中心となって班ごとに行き先を決定。下見やしおり作成、当日の運営までを担当し、リーダーシップを発揮します。

「6年生の自己肯定感を高めることを大切にしています。自分たちで計画し、下級生を連れていく経験は大きな自信につながります」と和田副校長。

遠足が実施されるのは秋です。動物園や水族館など、行き先も班ごとに異なります。そんな6年生を見て、「次は自分たちだ!」と5年生が育ち、下級生はお姉さんたちに憧れる。その縦のつながりにこそ、12年一貫教育を大切にする小林聖心の伝統が感じられます。

世界デビューの第一歩!サマーキャンプinオーストラリア

2026年夏、4〜6年生を対象としたオーストラリア・ゴールドコーストでのサマーキャンプがスタートします。きっかけは、大川先生が姉妹校であるStuartholme Schoolを訪問したことでした。

「自然豊かな環境や教育への考え方が、本校ととても似ていて驚きました。初めて訪れたにもかかわらず、どこか懐かしい気持ちになりました」と話してくださいました。現地の生徒たちのおもてなしにも深く感動され、「小林聖心の子どもたちにも、この聖心会ならではのグローバルなつながりを現地姉妹校で体験してほしい」と、プログラムが始動することになりました。

7月に実施される7泊8日のプログラムでは、ESL授業やホームステイ、姉妹校交流、文化体験などを予定。説明会には6年生を中心に20名を超える参加希望者が集まり、関心の高さがうかがえたとのことでした。参加する子どもたちにとっては、広い世界への第一歩となる特別な夏になりそうです。

まとめ

AIがどれほど進化しても、人を思いやり、対話し、社会のために行動する力は人間にしか育むことができません。小林聖心女子学院が大切にしている「Big You, small i」は、他者を尊重し、自分の力を誰かのために生かそうとする心を育む教育理念です。英語の「You」を大きく、「i」は小さく書くように、自分中心ではなく相手を大切に考える姿勢を表しています。初代学院長マザー・マイヤーが示したこの教えは、知識だけではなく、その知恵を社会のためにどう役立てるかを問い続ける学院の全人教育の根幹でもあります。

今回の6つの取り組みには、人間力の育成だけでなく、共働き家庭をはじめとする保護者の子育てを支えたいという願いも込められていました。学院のさまざまなチャレンジからは、これからも子どもと保護者に寄り添い、成長を支える献身的な姿勢が感じられました。来年の取材レポートでは、新しい取り組みの成果を報告できることが楽しみです。

取材協力

小林聖心女子学院小学校

〒665-0073 兵庫県宝塚市塔の町3-113   地図

TEL:0797-71-7321

FAX:0797-72-5716

URL:https://www.oby-sacred-heart.ed.jp/

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