取材レポート

昭和女子大学附属昭和小学校

一条校では首都圏初の「国際コース(仮称)」を2024年度から新設

2023年、創立70周年を迎えた昭和女子大学附属昭和小学校。2024年度から、これまで取り組んできた学びを発展・充実させ、「探究コース(仮称)」と「国際コース(仮称)」という2コース制をスタートさせます。子どもの可能性を大きく広げる選択が可能になる2コースについて、校長の前田崇司先生と入試広報部の富永剛先生にお話を聞きました。

昭和女子大学附属昭和小学校 校長 前田崇司先生のお話
〝SHOWA E.S 24〟プラン始動 
「国際コース(仮称)」の特色
「探究コース(仮称)」の特色

昭和女子大学附属昭和小学校 入試広報部 富永剛先生のお話
月齢を考慮した発育調査
「国際コース(仮称)」卒業後に広がる可能性

昭和女子大学附属昭和小学校 校長 前田崇司先生のお話

〝SHOWA E.S 24〟プラン始動 

2023年は、創立70周年の年です。「世の光となろう」という建学の精神、そして「目あてをさして進む人」「まごころを尽くす人」「からだを丈夫にする人」という3つの目標を再確認し、その上でこれからを見据えてさらなる高みを目指そうと今年度をスタートさせました。本校が目指す資質・能力の柱として、「Lead Yourself ~自分リーダーシップの発揮~」を掲げています。「自分リーダーシップ」とは、チームや組織を「引っ張っていく」という狭義の意味だけではありません。学級委員などになっていなくても、誰もが発揮できるものです。また、立場や役割に関わらず、フォロワーにまわった人でも発揮できます。そして、入学したばかりの1年生でも開発できるものです。常に変化している世の中では、震災や感染症の蔓延、紛争など、これから先にどんな場面が待ち受けているかわかりません。そのような中でも、自分のよさや可能性を引き出すことができ、自他の向上のために影響を与え、ともに高まり合って、自らの生き方をつくっていくことのできる資質・能力が重要だと考えています。

本校では、主体性を育む5つの資質・能力として、「自分づくり」「コミュニケーション」「思考力」「表現力」「持続チャレンジ」を重点に、教育活動を進めています。「自分リーダーシップ」を発揮するためには、自尊感情に裏打ちされた主体性が大切だと考えているからです。自分に対して否定的だと、他者を大切にすることができません。自分のよさを知り、他者と関わることができ、新しい価値が創造できる、自信を持った子どもを育てていきたいという思いが基盤にあります。この基盤のもとでさらなる高みを目指し、2024年度から2コース制をスタートさせることになりました。

「国際コース(仮称)」の特色

3クラスのうち1クラスを「国際コース(仮称)」(募集児童数36名)とし、グローバルマインドをしっかりと身につけて、国際化する社会で活躍できる人材を育てます。丁寧に細やかな指導ができるように、日本人バイリンガルの担任とネイティブの担当2人による3人体制です。学習効果を考えながら臨機応変に、18人ずつ等の少人数編成も取り入れます。一条校なので学習指導要領に準拠し、国語、道徳、社会は日本語でしっかりと授業を実施。その他は、オールイングリッシュのイマージョン教育が基本です。成長していく中で、場合によっては方向転換が必要なこともあるでしょう。「国際コース(仮称)」から「探究コース(仮称)」へは、コース変更できる機会を用意しています。

昭和女子大学の海外キャンパス「昭和ボストン」、キャンパス内にあるBST(ブリティッシュ・スクール・イン・トウキョウ)や米国テンプル大学ジャパンキャンパスなど、豊かな英語環境を活用して海外体験学習や交流も行っていきます。入試での英語力は問いませんが、面接の際にお子さまとは英語でやりとりをさせていただきます。英語イマージョン教育の中で、ネイティブ教員と会話のキャッチボールができないと本人が困るので、「伸びしろ」を見ておく必要があると考えているのです。卒業までには、CEFR「B1」(英検2級相当)の習得を目指します。卒業後の進路としては、附属中高の「グローバル留学コース」をはじめ、英語が強い私学やボーディングスクール、海外大学への進学など、幅が広がります。これまで行ってきた英語教育や豊かな英語環境など、素地があるからこそスタートできる新コースです。
※CEFR:外国語の習熟度と運用能力を6段階で評価する国際基準指標

「探究コース(仮称)」の特色

3クラスのうち2クラス(募集児童数60名)は、2024年度から「探究コース(仮称)」とします。これまでの学びをアップデートして、探究的な学びで一人ひとりの資質・能力を伸ばしていくコースです。クラス担任と副担任、教科担任制で授業を進めていきます。体験をベースに、自然科学だけでなく、人文科学や社会科学も含めて、「科学する心」を大切にしたカリキュラムです。低学年での体験活動をより充実させることで体験から言語が生まれ、好奇心から探究心へとつなげていきます。

音楽・図工・体育の各1時間を日本語と英語を使い分けながら指導する教育プログラム「e-MAP」など、英語教育もより充実させ、プログラミングも含めたSTEAMS教育も推進。こちらのコースでは卒業までに、CEFR「A1」から「A2」(英検3級~準2級相当)の習得を目指します。「e-MAP」の授業は「表現」することにつながっており、例えば音楽の授業で「きらきら星」を歌うとき、「どの言語で歌ってもいいよ」と言うと、英語で歌う子、日本語で歌う子、両方の言語を行ったり来たりしながら歌う子など、とても楽しそうに歌っていました。また、学園所有の望秀海浜学寮や東明学林での「ターム・ステイ・スタディ」や異学年交流による体験活動で、非認知能力の育成にもより力を入れていきます。コロナ禍では制限があった宿泊行事も復活させて、親元を離れて友だちとの関わりの中で一定期間過ごし、社会でたくましく生きる力を育むコースです。
※STEAMS教育:Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)、Art(美術)、Sports(スポーツ)を教科横断的に学ぶ学習スタイル

昭和女子大学附属昭和小学校 入試広報部 富永剛先生のお話

月齢を考慮した発育調査

どちらのコースも、選考方法は親子面接と発育調査です。発育調査は、誕生日順に受験票を並び替えてから、受験番号つけて実施しています。発育調査では、今現在何点取れたから合格ではなく、「伸びしろ」を見るという考え方で選考しています。月齢を考慮して、誕生月が同じグループの中で選考するので、早生まれのお子さまもご安心ください。保護者にとってのゴールは入試・合格かもしれませんが、私たちのゴールは6年後の卒業式です。卒業までの6年間を快適に過ごせるかを、入試で見極める必要があります。入試や入学式はスタートラインであり、そこからどう育てていくかを見るのが発育調査なのです。本校は宿泊行事も多いので、学寮などでは親元を離れて自分のことは自分でしなければなりません。普段の授業でも、音楽の授業が終わって5分休みの間にグラウンドに出て、体育の授業を受ける準備をしなければならない日もあるでしょう。自律を求められる場面でお子さまがどう行動できるか、保護者の皆さまにもイメージしていただきたいです。

「探究コース(仮称)」は、3日間同じ入試です。「国際コース(仮称)」では、発育調査の中に英語は入れませんが、親子面接でお子さまに対して英語でのやりとりがあります。入試の時点で英語ができる子が、入学後に大きく伸びていくとは限りません。このコースは、朝の会や給食も英語イマージョン教育の中で行われます。例えば、「ロッカーから道具箱をとってきて」「ご飯を静かに食べましょう」などと英語で言われたとき、自分で聞き取ることができなかったとしても、周りを見ながら行動しようとする気持ちがあれば「伸びしろ」があると判断します。また、九九や小数の割り算も英語で行うので、家庭学習で「教えて」と言われたら保護者も英語で考えなければなりません。保護者の視点では、子どもと一緒に楽しんで学べるか、サポートしようとする気持ちを持てるかが重要だと考えています。

「国際コース(仮称)」卒業後に広がる可能性

70年という歴史の中で培ってきた現在の英語教育は、「探究コース(仮称)」に引き継がれていきます。「国際コース(仮称)」ではさらに発展させて、学習指導要領に基づき、授業の約65%を英語で学ぶ英語イマージョン教育を進めます。「昭和ボストン」での海外体験も、「探究コース(仮称)」は希望者ですが、「国際コース(仮称)」は全員参加を予定しています。期間も長くして、ボストンの人との交流や異文化体験を充実させるほか、さらなる海外体験学習も計画しています。

また、昭和女子大学は、2014年度からダブル・ディグリー・プログラムを導入しました。昭和女子大学で3年間、協定大学(テンプル大学ジャパンキャンパスやソウル女子大学校など)で2年間学ぶと、単位互換性により5年間で双方の学位を取得できる制度です。附属中高では、6年生(高3)の1年間、高校に籍を置きながら昭和女子大学で学ぶことができる五修生制度があります。この2つを併用すると、中高の同級生と同じ卒業時に2つの学位獲得が可能となります。「本科コース」に進んでも、努力次第でダブル・ディグリー・プログラムを修了することは可能です。

男子の場合は、外部中学の校長先生に来校していただき、児童と保護者を対象にした説明会や講演会を実施しています。また、「国際コース(仮称)」を卒業したからといって英語や国際関係の道に進まなければならないということではありません。本人の興味や関心によっては、附属中高の「スーパーサイエンスコース」など、理系に進む道もあります。2コース制を導入することで、子どもたちの可能性を大きく広げる選択が可能になるとお考えください。

取材協力

昭和女子大学附属昭和小学校

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昭和女子大学附属昭和小学校