取材レポート

啓明学園初等学校

多様なバックグラウンドをもつ子どもたちが集う恵まれた学習環境

英語を母語とする帰国生をはじめさまざまなバックグラウンドを持つ「国際生」が約4割にのぼる啓明学園初等学校。
普段の生活の中でも英語が飛び交う場面が多く、生きた言葉として自然に英語を学習できる恵まれた環境が整っているようです。
今回は英語科の教員として5年目を迎える小竹空翼先生とアトキン先生にお話を伺い、啓明の英語教育の取り組みについて教えていただきました。


英語科教諭 小竹空翼先生、アトキン先生のお話
「啓明学園初等学校が取り組む英語教育の実際」

小竹空翼先生

小竹空翼先生

アトキン先生

アトキン先生

啓明学園初等学校が取り組む英語教育の実際

言語経験に応じて2コース編成、3つのレベルに分かれた英語の授業

小竹先生

本校には帰国生や国際結婚によるご家庭などいろいろなバックグラウンドを持つお子さんがたくさんいます。啓明ではそのような多様な言語・文化経験を持つお子さんを「国際生」と呼んでいますが、一人ひとりの言語経験に合わせた英語を学べる環境が整っています。

英語は2コース編成で「国際英語コース」と「一般英語コース」とに分かれています。国際英語コースはさらにインターナショナルレベルとインターミディエットレベルとに分かれて英語の授業が行われています。

「国際英語コース」はオールイングリッシュでアトキン先生とオコリ先生が中心になって授業を担当しています。基本的に英語を母語とするお子さんたちが中心ですが、最近では国内のインターナショナルプレスクール(幼稚園)出身のお子さんも増えています。割合としては年度によって変わりますが、昨年度の1年生は約4割のお子さんが「国際英語コース」で授業を受けています。

「国際英語コース」の授業内容は英語圏の学校と同学年のレベルを目指していて、高学年になると環境問題などのトピックについて英語で学び、ディベートをしたりエッセイを書いたりしています。

一方、「一般英語コース」は英語を外国語として学習するお子さんたちなので、基本的にゼロから始めていきます。低学年だと聞く・話すを中心に、英語の基本的なルールを体験的に学んでいきます。高学年になると読み・書きの初歩を学び中学校の英語につなげられるようにしています。

オコリ先生

オコリ先生

【一般英語】大切なのは英語らしい音のフレームを持たせてあげること

小竹先生

初等学校における英語学習のゴールは「一般英語コース」と「国際英語コース」とでそれぞれ目指すところが異なっていて、「一般英語コース」でしっかりやっておきたいことはやはり“音”ですね。

大切なのは中学校の学習内容を先取りしてやることではなくて、英語らしい音のフレームをしっかり持たせてあげることだと思います。そこができると中学校に行ってから文法の説明が加わったり、読んだり書いたりする量が増えたりしても対応できるようになって、英語の力をつけていくためのベースとなります。

もうひとつ学習者としてどう育って行って欲しいかということも大切にしていて、授業内容も工夫しています。例えば「日本語に訳します」とか「Repeat after me」みたいなことはほとんどしていません。

基本的に授業でやっていることは英語を実際に使うこと。子どもと先生あるいは子ども同士で英語を使って自分の考えや思いを伝え合うという経験を繰り返し行なっていきます。英語で自分の言ったことが相手に伝わったとか、相手の言うことが分かったという経験を通して英語のルールを学び、語彙を増やしていくことが大切だと思います。

例えば、野菜の名前について学ぶときに「Repeat after me. Cabbage...」ではなく、「お味噌汁を作ろうと思っているんだけど、どんな具が良いかな?」と問いかけて、子どもが「キャベツが良いんじゃない」と言ったら「Oh, cabbage. That’s a good idea.」と英語で返します。そうすると「キャベツって英語でcabbageって言うんだ!」と気づきを促して、みずから学んでいくようにします。実際に先生が使っている英語を聞いたり、話しかけられたりするのを経験しながら、ここは子どもたちが自力で掴み取っていくところだと思っています。

「英語は教えてもらわないと分からない」とか「日本語に訳してもらわないと分かりません」となると、中学、高校、大学、さらにその先と続いていく言語学習につながっていかないので、大切なのは子どもの学ぶ力を引き出してあげること。先生はそのために英語を使う場面を作ることが役割だと思っています。

【国際英語】英語圏に戻ることも想定し、英語力をキープしてさらに伸ばすことを目指す

アトキン先生

「国際英語コース」では、母語として身につけた英語力をキープしてさらに伸ばしていくことを目指しています。なぜなら英語圏の国に戻るようなケースもあるからです。

啓明では「国際英語コース」もありますし、普段の授業や生活は日本語なので、ふたつの言葉を同時に学習できる環境があるのはとても良いことだと思います。英語圏に戻った時にいろんな選択肢を持てるようになりますね。

また英語を学ぶうえで大切にして欲しいのは、間違っても大丈夫ということ。It’s okay to make mistakes because you can learn from mistakes. 間違いから学ぶことも多くありますし、クラスメイトや先生と一緒に学び合っていく姿勢を身につけて欲しいと思います。

あと学んでいくことにオープンであって欲しいと思います。英語力をキープするには週3回×40分の授業だけでは十分では無いので、英語の本を読んだり、英語のドラマを観たり、英語の音楽を聴いたりするのもそうですが、英語に触れる環境をみずから作って行って欲しいと思います。Do the best you can do.

iPadを補助的に活用しながら、授業ではコミュニケーションを重視

アトキン先生

英語の授業が週2回から3回に増えたので、子どもたちの英語力をもっと高めていこうと試行錯誤しているところです。

「国際英語コース」では2年前からiPadを使うようになり、MobyMaxというオンラインのプログラムや、エッセイを書くこと等で活用しています。授業でやったこととMobyMaxで学習したことが結びつくようなサイクルもできてきたので、iPadを使った学習をこれからも積極的に取り入れたいと思っています。

小竹先生

「一般英語コース」でも少しずつiPadを使うようになり、家庭学習や補助的なツールとして活用しています。また授業で一番大切にしたいのは生きた言葉のやりとりで、授業はコミュニケーションの場であり実践の場なので、これからもそこは変わらずに大切にしていきたいと思います。

子どもたちの様子を見ていると、最初から英語を学ぶことが嫌いと言っている子はいないと思います。他の教科と同じように英語もできるようになりたいと思っているので、英語が苦手とかやる気がなくなっちゃったというのは教える側の力不足かなと。だからこそもっと子どもたちに寄り添って、子どもたちのためになる授業づくりをしたいと願っています。

英語劇、スピーチプレゼンテーションなど英語で発表する機会が多数

小竹先生

本校では授業以外にも英語で発表する機会が多くあります。

1、2年生による英語劇は、去年はコロナ禍で中止になってしまったんですけど、今年は感染対策を行なったうえで無事に開催することができました。題材は子どもたちにも馴染みのあるもので、今年は「大きなかぶ」と「桃太郎」、「オオカミと七匹の子ヤギ」、「白雪姫」を英語で披露しました。また「国際英語コース」は授業で学習した内容を劇にして発表しました。

また5、6年生はスピーチプレゼンテーションがありまして、「国際英語コース」は授業で取り組んだエッセイを発表します。例えば「家族」や「友達」、「環境」、「ペット」、「歴史上の人物」といったテーマがあり全員参加で取り組みました。「一般英語コース」からも希望者が「将来の夢」や「好きなこと」についてのスピーチをしたり、英語の詩を暗唱したりしました。

他にもオーストラリアの姉妹校とオンラインで英語の交流を行ったり、4、5、6年生は校内で英検を受けられるチャンスもあるので、「国際英語コース」「一般英語コース」問わず希望者は挑戦できる環境が整っています。

多様なバックグラウンドをもつ啓明の子どもたち

小竹先生

啓明の英語は言語経験に応じてコースが分かれているのは先ほどもお伝えしましたが、クラスあたりの人数が少ないため、授業の中で英語を話す機会がたくさんあります。また子どもたち一人ひとりの様子を見ながら授業を進められるので、言葉を学ぶ環境としてはかなり恵まれていると思います。

また授業だけではなく普段の生活の中でも英語が飛び交っていて、国際交流事業などを通じて英語に触れる機会も多くありますし、国際色豊かなところが啓明の良いところだと思っています。

本校に着任してから「先生、なんで英語を勉強しなきゃいけないの?」と子どもたちに聞かれたことがないんです。ごく当たり前にいろいろなバックグラウンドの人がいて、いろいろな言葉も使われているので、ふたつの言葉を学ぶことの意味が体感として分かっているんだと思います。

だからこそ、いろいろなバックグラウンドを持つお子さん一人ひとりにとって、できる限りベストな学習環境を提供していきたいと思っています。

ネイティブ講師アトキン先生のご紹介

最後に、アトキン先生に自己紹介をしていただきました。

I’m from America.
I have been in Japan for 11 years.

What I like...
I like playing board games.
And spending lots of time with my cats.
They are soft and handsome.

I have three cats.
One comes from Akita.
One comes from Tokyo.
One comes from Fukushima.
They are all “Hogoneko”.

I work as a volunteer at cat shelter.
There are many cats at the cat shelter.
Over 20 cats from all over Japan.

編集後記

2017年度からインターミディエットレベルが始まり、現在の2コース編成3つのレベルの英語の授業が行われるようになったそうですが、子どもたち一人ひとりの実情に合わせたきめ細かな授業が行われている点に魅力を感じました。またアトキン先生は美術の先生としての経験も生かして校内の掲示物や英語劇の小道具制作に携わるなど、授業以外でも子どもたちと向き合う姿勢に親しみやすさを感じました。

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