取材レポート

関西学院初等部

大学まで揃う一貫校ならではの強みを活かし、「本物」に出会う教育を数多く実践

幼稚園から大学・大学院、そしてインターナショナルスクールを持つ総合学園・関西学院の小学校課程として2008年に開校した関西学院初等部。建学の精神に「Mastery for Service=社会と人のために自らを鍛える」を掲げ、確かな学力と共に、高い倫理観や豊かな感性、国際感覚を養う教育を展開しています。一貫校ならでの教育をはじめ、同校の特徴的な教育について、野村真一先生にお話をお伺いしました。

関西学院初等部 野村真一先生のお話
野村真一先生

野村真一先生

関西学院初等部 野村真一先生のお話

一流アスリートが揃う関西学院ならではの連携教育

関西学院初等部では、大学と連携した様々な教育を展開しています。そのひとつが、3年生以上の総合的な学習の時間に実施する「関西学院スポーツオムニバス(KGSO)」。大学の部活動で活躍する先輩達が初等部を訪れ、デモンストレーションを行ったり、子ども達と共にプレーを楽しんだりします。この交流を行う際、野村先生は大学生達に「子ども達を本物に出会わせてほしい」とお願いをするそうです。

「活動の最初に、大学生にそのスポーツのデモンストレーションをしてもらいます。その際、『小学生相手に手を抜かないで』『とんでもない球を投げて、とんでもないシュートを打って』とお願いしています。本気でプレーする大学生達の姿を見て、子ども達は初めて出会うスポーツをカッコイイと感じるからです。大学生もその思いを分かってくれて、本気でやってくれます。やっぱり大学生が本気だと、音が全然違います。野球の投球もミットからバツーンという非常に大きい音がするんですね。子ども達は『どこから音が鳴ってるの?』と驚きます。バレーの時は、跳び箱を用意して、子ども達をその後ろに隠れさせて、跳び箱にスパイクを当ててもらうんですよ。子ども達は、すごいスピードのスパイクを真正面から見たり、ボールが跳び箱に当たった時の衝撃や音を身体全体で感じたりすることができます」

これも一流のアスリートが揃う関西学院だからこそできる交流です。子ども達にも、この交流の効果は如実に現れるといいます。

「毎回違う部に来てもらうのですが、交流後、子ども達は『大学に入ったら、そのクラブに入る』と言います。全部のスポーツにチャレンジしたくなるんですね。そして、大学のリーグ戦を観に行くようになります。自分たちと一緒にプレーしてくれたお兄ちゃん・お姉ちゃん達が全国レベルで戦っている姿を見て、本気でスポーツに取り組んでいる人が先輩として自分たちの学院にいるという誇りも生まれます。この交流を通し、本物から受けた衝撃は、子ども達にチャレンジ精神や誇りなど、色々なものをもたらしてくれます」

創立から13年が経過し、創立当初から行っていたこの交流に、初等部の卒業生が、当時自分たちが憧れた「大学生のお兄ちゃん・お姉ちゃん」として戻ってきてくれるようになりました。
「このお姉さんは初等部出身だよと言うと、子ども達はとても驚き、喜んでくれます。より強いつながりが生まれつつありますね。そして、大学生からも『自分もこのスポーツに出会った時にかっこいいと思ったなと初心を思い出しました。来て良かった。また来ます』という言葉をもらいます。関西学院全体としても、良いイベントになっています」(野村先生)

留学生との交流で育まれる新しい価値観と多様な人生の選択肢

「本物」と出会う機会として、もうひとつ、関西学院初等部で大切にしているのが、4年時に行われる留学生交流です。関西学院大学の留学生が初等部を訪問し行われるこの交流では、留学生による自国のプレゼン発表・初等部生の英語プレゼン発表のほか、ランチを一緒に食べたり、休み時間に遊んだりします。野村先生に、この交流での子ども達の様子をうかがった所、こう返ってきました。

「2~3人のグループに一人の留学生がつきます。留学生の出身国は東南アジアやヨーロッパ、北南米など30カ国以上にも及びます。言語も多様で宗教も全く違う方も来られます。本校では色々な国から来た5人のネイティブ教員がフルで活動していることもあり、子ども達は言葉や文化の違いに対して、あまり抵抗感がありません。この交流でも、緊張よりも、新たな国の人がやってくるというワクワク感が大きいようです。様々な国の人との出会いを楽しめる感覚はかけがえのないものです」

留学生の出身国は日本になじみのない国も多く、彼らのプレゼン発表を聞いて、子ども達はとてもその国の文化に興味を持つとのこと。交流後は、自学自習(自分でテーマを決め、調べ学習をしたものをまとめる)の時間で、自分が出会った留学生の国について調べて、プレゼン発表する子どもが多く出ると野村先生は話します。

「この交流を通して、世界に目を向けてくれたら、本当に嬉しいですし、実際、多様性に触れて、世界へ進学するという選択肢もあるんだと思った子達が、本学院の千里国際中等部に進学する例もあります。KGSOもこの留学生との交流も、関西学院が持っているコンテンツをフルに活用して実施しています。これは一貫校ならではの強み。この強みから生まれる本物との出会いを通して、子ども達が新しい価値観を育み、人生の選択肢を広げる機会を多く設けていければと考えています」

英語に対する姿勢を新たにする全員参加のホームステイ体験

関西学院初等部では、全学年で毎日英語の授業を実施。3年生以上では少人数制を導入し、30人学級を半分に分け、それぞれに日本人教員とネイティブ教員がつくTT(Team Teaching)制を採用しています。
同校の英語教育の集大成として、6年生の5月に実施する行事が、「カナダ・コミュニケーション・ツアー(CCT)」です。CCTでは、カナダのバンクーバーに5泊7日で赴き、最初の3日間は、ブリティッシュ・コロンビア大学の学生寮を借り切って、そこを拠点に過ごします。残り2日間は、2人1組でのホームステイ。ホームステイを、希望者だけでなく、全員参加で実施するのがCCTの大きな特徴です。CCTを経て、子ども達の英語への取り組み姿勢が変わると野村先生は話します。

「本校では毎日英語の授業があり、ネイティブ教員とも日常的に触れ合っているので、英語の力、特にヒアリング力はしっかりと育ちます。実際向こうに行くと、子ども達は思った以上に英語が聞き取れることにびっくりするんですね。その一方、伝えることは難しく、もどかしいという気持ちを持つ子もいるようです。その経験が『もっと英語を勉強したい』という気持ちに繋がります。CCTを通して、英語学習への気持ちを新たにして中学に上がっていきます。それが、中学生になった時、初等部の子は英語が得意という評価に繋がるのだと思います」

休校時に培った学びの配信技術を今の教育にも活かす

全学年で1人1台iPad制を導入している関西学院初等部。2020年度の新型コロナウィルス対策による休校措置の際も、4月からオンラインで学びを提供しました。

「まず、毎日1時間、Zoomを使ってホームルームを開きました。オンラインで話すのが苦手な子もいたので、チャットも開放したところ、とてもよく話してくれましたね。YouTubeで授業動画を配信したり、課題をロイロノート(インターネットを使って学習支援を行うためのプログラム・システム・アプリ)上でやりとりをしたりするなど、ICTを活用することで、授業はほぼ遅れることなく進められました。現在も保護者懇談会や様々な場面で活用しています。今後授業づくりのパラダイムが変わると予感しております」(野村先生)

つぶやきの豊かな授業を通し、他者と共に学ぶ楽しさを知る

関西学院初等部では、「学校の本質は授業力」「学級経営と授業の一体化」と授業のあり方についての研究・研修を非常に熱心に行っています。基本的に全教員が年に1回は自分の授業を公開する機会を持つほか、1人の教員の授業を全教員で見て、その内容について議論する公開授業を各学年1回ずつ計6回、そして毎年2月には全国の教育関係者を招いての学校公開を実施し、全学年全クラスの授業を公開します。学校公開に参加した教育関係者から、授業中の子ども達の発言が多いことに非常に驚いたという声をもらうそうです。

「1年生の時から、ペアやグループでの話し合いを多く取り入れ、他者との関わり合い方を身体になじませていきます。すると、学級全体につぶやきや発言が多く出るような雰囲気が醸成されるんですね。6年生になっても、授業中によく発表しますし、学級全体での議論に発展することも多いです」(野村先生)

最後に野村先生は、つぶやきの豊かな授業が目指すものについて、こう話します。

「知識を身につけられたらそれで良いと思って、授業をしているわけではありません。知ることは楽しい、発見することも楽しい、価値観の違う者同士がきちんと意見を戦わせることも面白いよね、という生涯持ち続ける価値観の核を作っているのだと思って、授業を行っています。他者と語り合う中で本質にたどり着く経験をたくさん積むことから、「仲間がいたから、自分だけでは到達しえなかったはずのステージに立てた」という価値観を得て欲しいと思っています」

まとめ

関西学院初等部では、2021年度は新型コロナウィルス対策のため、学校説明会を、ICTを活用して開催。授業動画や音楽祭などの行事の録画配信も行いました。配信を見た参加者から、「関西学院の校風はおとなしいと思っていたのですが、180度イメージが変わりました」「すごくエネルギッシュなんですね」という感想をたくさんもらったのだとか。

「実際、学校としてはとてもエネルギッシュだと思います。体育祭では、勝っても負けても泣ける体育祭にしようと言って、全力で取り組みます。勝負ごとについては常に、『good winner(よき勝者)であれ、good loser(良き敗者)であれ』と伝えています。音楽祭でも、最後は歌いながら泣く子が出るぐらい熱い行事となります。何事も本気じゃないと価値はないし、失敗しようがしまいが、納得できるまで突き詰めてやってきた者に対しては敬意を払うという姿勢が根付いています」と野村先生。

授業だけでなく、行事などあらゆる事柄を通して、何事にも本気で取り組む姿勢を育む教育を徹底し、その教育方針を学院全体で共有する同校。同校の進学率は、初等部から中学部、中学部から高等部、高等部から大学へはいずれも約95%。初等部のほとんどの子ども達が大学まで進学します。この事実は、関西学院で展開する教育への高い満足度の表れです。ぜひ一度、熱意あふれる教育や校風を感じ取りに、学校説明会に足を運んでみてはいかがでしょうか。

取材協力

関西学院初等部

〒665-0844 兵庫県宝塚市武庫川町6-27   地図

TEL:0797-81-5500

FAX:0797-81-5010

URL:https://www.kwansei.ac.jp/elementary/

関西学院初等部