国立学園小学校
教員も児童もわくわく、ドキドキする授業で伸ばす「気づき」力
2026年4月に創立100周年を迎えた国立学園小学校。1974年に教科担任制を導入し、複数の教員が一人ひとりの児童を見て伸ばしていく教育を行っています。同校の教員力や授業力について、校長の佐藤純一先生と教頭の尾崎正彦先生にお話を聞きました。
国立学園小学校 校長 佐藤純一先生のお話
国立学園小学校 尾崎正彦先生のお話
国立学園小学校 校長 佐藤純一先生のお話
国立学園小学校 尾崎正彦先生のお話
(左)教頭 尾崎正彦先生 (右)校長 佐藤純一先生
国立学園小学校 校長 佐藤純一先生のお話
子どもたちが自由に組み合わせを選べる新制服
2026年4月、本校は創立100周年を迎えました。国立市や国立駅も100周年ということもあり、この1年は地域全体で100周年を記念したイベントなどを開催しています。本校でも様々な100周年記念事業を行い、2月~8月までは富士見通りの街路灯に子どもたちの絵画作品をあしらった記念フラッグが掲出されていました。体育館に新設したクライミングウォールも、記念事業の1つです。自分の力で一歩ずつ登る体験を通して、挑戦する心や達成する喜びを実感してほしいという思いを込めて設置しました。
100周年を機に制服もリニューアルし、今年度から1年生と希望者が新制服を着用しています。「marie claire PARIS」が手掛ける小学生の制服として、本校が第1号となりました。ジャケットの手首部分やスカートにあるえんじ色のラインなど、伝統や品格を継承しつつ、洗練されたデザインへと一新されています。新制服は、ジャケットに合わせるボトムスが無地とチェック柄から選べるほか、夏用のワンピースやポロシャツなど、子どもたちが自由に選択できることが大きな特徴です。性別に関係なく、パンツスタイルを選ぶこともできます。ホームケアのしやすさも重視して、家庭で洗えてシワになりにくく、速乾性のある素材を採用しました。帽子もシャワーで洗えば、型崩れすることなく汚れやにおいを落とせます。通学カバンも、重いランドセルから身体への負担を軽減する人間工学設計のリュックに一新しました。低学年用と高学年用の2サイズ用意し、横に水筒を入れるポケットを作るなど、何度も話し合いと試作を重ねて完成した本校のオリジナルです。新制服は大好評で、導入初年度で2年生以上も含めて全体の45%が着用しています。
100周年を機に制服もリニューアルし、今年度から1年生と希望者が新制服を着用しています。「marie claire PARIS」が手掛ける小学生の制服として、本校が第1号となりました。ジャケットの手首部分やスカートにあるえんじ色のラインなど、伝統や品格を継承しつつ、洗練されたデザインへと一新されています。新制服は、ジャケットに合わせるボトムスが無地とチェック柄から選べるほか、夏用のワンピースやポロシャツなど、子どもたちが自由に選択できることが大きな特徴です。性別に関係なく、パンツスタイルを選ぶこともできます。ホームケアのしやすさも重視して、家庭で洗えてシワになりにくく、速乾性のある素材を採用しました。帽子もシャワーで洗えば、型崩れすることなく汚れやにおいを落とせます。通学カバンも、重いランドセルから身体への負担を軽減する人間工学設計のリュックに一新しました。低学年用と高学年用の2サイズ用意し、横に水筒を入れるポケットを作るなど、何度も話し合いと試作を重ねて完成した本校のオリジナルです。新制服は大好評で、導入初年度で2年生以上も含めて全体の45%が着用しています。
1974年に導入した教科担任制
本校は、開校した当初は少人数で、感じたことを図鑑で調べたりする「直観科」の授業などもあり、豊かな人間性を育む教育を行っていました。しかし、今の場所に移転して人数が増えてくるにつれて中学受験へのニーズが高まり、中学受験に特化した学校になっていってしまったのです。体育や音楽などの実技は集中的に終わらせて、国・算・理・社は入試問題集を教科書にしたような授業を行っていました。そのことを憂いた二代目の理事長・堤清二は、教育方針の転換やカリキュラムの再編に着手しました。保護者の理解を得るのに4年かかりましたが、「豊かな人間性を培う」という教育目標を打ち出し、当時まだどの小学校も行っていなかった教科担任制を1974年に導入したのです。音楽、図工、体育、読書の授業も充実するように、低学年から専門の教員が授業を担当しようということになり、それに合わせて4年生以上の主要4教科も教科担任制を導入しました。
本校の教科担任制は担当する教科を変えず、算数を担当する教員ならずっと算数の担当です。教科ごとに違う教員の目で一人ひとりの児童を見るので、担任が気づけない面に他の教員が気づくことも多くあります。その情報を共有できるように、子ども一人ひとりに対して、担当しているすべての教員が意見を述べる「子どもを語る会」を全学年で年に5回実施しています。例えば、クラスにうまく馴染めていない児童がいた場合でも、「体育の時間はリーダー的な存在で、みんなと協力しています」「図工の時間は後片付けを率先してやっています」などと他教科での様子がわかると、担任が気づかなかった面が見えてきて、担任自身の見る目も変わっていくのです。それぞれの教科を担当する教員の目を通して、児童一人ひとりがどのような力を持っていて、どうやって伸ばしていけばよいのか考えることができます。
本校では1992年に、週5日制を導入しています。まだ週6日制が一般的だったので反対する保護者もいましたが、子どもがやりたいことのために時間を使えるように、子どもに時間を返しました。そして、今では多くの学校が週5日制になっています。1年生の2学期から日記を書くことも、早くから取り組んできたことの1つです。教員は学年チーム制で、3クラスを6人で見ています。朝の会は担任が行いますが、昼や帰りの会は違う教員が担当するなど、子どもたちはいろいろな教員と関わっていきます。日記も担任だけでなく、音楽の教員がコメントを書くこともあります。最初は書けない子が多いですが、褒めながら、よい文章は学級通信で紹介するなどしていくと、だんだんと書けるようになっていきます。日記に気になることが書かれていたら教員は声をかけますし、子どもたちにとっては書く力と続ける力を育む取り組みです。他校がやっていないことを行っていると不安に思う方もいるかもしれませんが、常に先を見据えた教育を取り入れてきた学校であることを知っていただきたいです。
本校の教科担任制は担当する教科を変えず、算数を担当する教員ならずっと算数の担当です。教科ごとに違う教員の目で一人ひとりの児童を見るので、担任が気づけない面に他の教員が気づくことも多くあります。その情報を共有できるように、子ども一人ひとりに対して、担当しているすべての教員が意見を述べる「子どもを語る会」を全学年で年に5回実施しています。例えば、クラスにうまく馴染めていない児童がいた場合でも、「体育の時間はリーダー的な存在で、みんなと協力しています」「図工の時間は後片付けを率先してやっています」などと他教科での様子がわかると、担任が気づかなかった面が見えてきて、担任自身の見る目も変わっていくのです。それぞれの教科を担当する教員の目を通して、児童一人ひとりがどのような力を持っていて、どうやって伸ばしていけばよいのか考えることができます。
本校では1992年に、週5日制を導入しています。まだ週6日制が一般的だったので反対する保護者もいましたが、子どもがやりたいことのために時間を使えるように、子どもに時間を返しました。そして、今では多くの学校が週5日制になっています。1年生の2学期から日記を書くことも、早くから取り組んできたことの1つです。教員は学年チーム制で、3クラスを6人で見ています。朝の会は担任が行いますが、昼や帰りの会は違う教員が担当するなど、子どもたちはいろいろな教員と関わっていきます。日記も担任だけでなく、音楽の教員がコメントを書くこともあります。最初は書けない子が多いですが、褒めながら、よい文章は学級通信で紹介するなどしていくと、だんだんと書けるようになっていきます。日記に気になることが書かれていたら教員は声をかけますし、子どもたちにとっては書く力と続ける力を育む取り組みです。他校がやっていないことを行っていると不安に思う方もいるかもしれませんが、常に先を見据えた教育を取り入れてきた学校であることを知っていただきたいです。
教員が足を運び、リアルな声を集めて進学先選びをサポート
中学受験に特化した学校から教育方針を転換しましたが、第1志望の学校への合格者は50%を超えています。それぞれにふさわしい学校を一緒に見つけるために、毎年全教職員が卒業生の進学先を訪問して、追跡調査や情報収集をしています。また、卒業生と保護者にアンケートをお願いして、進学した中学校での生活についてリアルな声をいただいています。6月の終わりに開催している卒業生と保護者による中学進学説明会は、中学校生活についての情報を得たり、座談会で質問などができる交流会です。本校の保護者と児童のためだけに、説明会を開催してくださっている中学校もあります。4年生以上の児童とその保護者を対象にZoomなども活用して開催していますが、より具体的な話を聞くことができると好評です。今は、偏差値や名前だけで受験校を選ぶ時代ではないと考えています。ですから、児童の特性を見極め、実際に教員が足を運んで進学先の特色を調べた上で、その児童に合った学校を見つけられるようにサポートしています。
国立学園小学校 教頭 尾崎正彦先生のお話
子どもから「自ら」の動きを引き出す仕掛け
受験対策のスキルだけを考えたら、公立の小学校に通いながら塾に通う方がよいかもしれません。しかし本校は、中学受験がゴールとは考えていません。本校は教育目標として「豊かな人間性を培う」を掲げていますが、これをより具体的な言葉で表すと「自ら考え 自ら学び 自ら行動する子ども」を育てることを目指しています。子どもから「自ら」を引き出すことは簡単ではないので、教員側の仕掛けが必要です。授業を充実させて伸ばしていかなければ、「自ら」の視点は育ちません。
本校の授業では、「あれ?」「どっちなんだろう?」といった子どもの「問い」を大切にしています。教科の中で子どもたちから「問い」を引き出すことができれば、楽しいという気持ちにつながり、「自ら」いろいろなことを考えるようになっていきます。その「問い」を引き出すためには、教員たちによる仕掛けが必要なのです。「問い」を引き出すためには、「ズレ」を感じさせることが有効だと考えています。ですから、あえてみんなの意見がバラバラになるような場面を作ったり、既習のことから予想したことと違うことが起きる場面を作るようにしています。例えば、一見海外のような雰囲気の写真を見せて、子どもたちにどこなのか考えてもらいました。実はライトアップされた佐渡金山の写真なのですが、海外などのいろいろな地名がでてきます。周りと自分の答えとの「ズレ」から「問い」が生まれ、調べてみようという気持ちにつながっていくのです。その経験を重ねていけば、子どもたちは「自ら」動くようになっていきます。
本校の授業では、「あれ?」「どっちなんだろう?」といった子どもの「問い」を大切にしています。教科の中で子どもたちから「問い」を引き出すことができれば、楽しいという気持ちにつながり、「自ら」いろいろなことを考えるようになっていきます。その「問い」を引き出すためには、教員たちによる仕掛けが必要なのです。「問い」を引き出すためには、「ズレ」を感じさせることが有効だと考えています。ですから、あえてみんなの意見がバラバラになるような場面を作ったり、既習のことから予想したことと違うことが起きる場面を作るようにしています。例えば、一見海外のような雰囲気の写真を見せて、子どもたちにどこなのか考えてもらいました。実はライトアップされた佐渡金山の写真なのですが、海外などのいろいろな地名がでてきます。周りと自分の答えとの「ズレ」から「問い」が生まれ、調べてみようという気持ちにつながっていくのです。その経験を重ねていけば、子どもたちは「自ら」動くようになっていきます。
子どもたちが算数の公式にたどり着くまでの道のり
私は算数の担当なので、先日、5年生の算数で体積について学ぶ授業をしました。最終的には「縦×横×高さ」という公式にもっていくわけですが、ただ公式を暗記させるのは学校の役目ではないと考えています。体積の公式に至るまでの道のりが大事なのです。塾に通っている児童も多いので、数字を与えたらすぐに公式で計算してしまうでしょう。ですから、「周りの辺の長さの合計が同じ四角い箱があったら、中身の大きさは同じ?」という質問をしました。「同じ」と言う子もいれば、「違う」と言う子もいます。「違う」と答えた子は、4年生で面積を習ったときに、周りの長さが同じでも面積が違うことがあったからそう答えたのです。同じか違うか「わからない」と言う子もいます。そこで、箱を作って中身を比べることにしました。
次の時間には、「どうやって中身を比べる?」という質問をしました。公式を知っている子が計算してしまうと意味がないので、1辺の長さを計る以外の方法です。蓋のない箱なので、中身を数値化すれば比べられるというアイディアが子どもから生まれてきました。今まで学んだリットル、グラムなどの単位を使って数値化して比べるのです。子どもたちはまず水を入れてみましたが、漏れたり、紙が溶けたりして比べられません。次に砂を入れてみましたが、同じ砂のはずだったのに、男子は深く掘って湿った砂を入れてしまったので、同じ大きさの箱でも重さがかなり違ってしまいました。最終的に、ブロックを入れることになりましたが、そこで一段目だけ入れたら後は段数分を掛ければ全部わかると言う子が出てきたのです。すると、1段目の縦と横がわかれば計算できるという子も出てきました。そうやって、「縦×横×高さ」という公式にたどり着いたのです。このように、想像を超える子どもたちの発想に教員もわくわく、ドキドキしながら、子どもたちと一緒に授業をつくっています。
次の時間には、「どうやって中身を比べる?」という質問をしました。公式を知っている子が計算してしまうと意味がないので、1辺の長さを計る以外の方法です。蓋のない箱なので、中身を数値化すれば比べられるというアイディアが子どもから生まれてきました。今まで学んだリットル、グラムなどの単位を使って数値化して比べるのです。子どもたちはまず水を入れてみましたが、漏れたり、紙が溶けたりして比べられません。次に砂を入れてみましたが、同じ砂のはずだったのに、男子は深く掘って湿った砂を入れてしまったので、同じ大きさの箱でも重さがかなり違ってしまいました。最終的に、ブロックを入れることになりましたが、そこで一段目だけ入れたら後は段数分を掛ければ全部わかると言う子が出てきたのです。すると、1段目の縦と横がわかれば計算できるという子も出てきました。そうやって、「縦×横×高さ」という公式にたどり着いたのです。このように、想像を超える子どもたちの発想に教員もわくわく、ドキドキしながら、子どもたちと一緒に授業をつくっています。
教員の「気づき」力を高める授業研究
問いを引き出す仕掛けの先に必要なのは、教員の「気づき」力だと思っています。子どもが「自ら」動いても、教員側がそれに気づかなければ意味がありません。教員の「気づき」力が高まれば、子どもの「気づき」力も高まるのです。「気づき」力が学力につながっていくので、教員が授業力を高めていくことが重要だと考えています。ですから、本校では教員たちの授業研究も大切にしており、全員の授業を見る機会を年に2回作っています。教科が違っても参考にできる部分はあるので、教科単位の授業研究は研究通信にまとめて共有しています。さらに今年度から、外部の先生方に模擬授業を評価していただく「くにたち・学びの園セミナー」も実施することにしました。
小学校の教員が目指すのは、偏差値の高い中学校に多くの児童を進学させることではなく、社会に出てから本当の意味で活躍できるベースを小学校段階で育てることだと思っています。本校が重視しているのは、授業力の向上によって、子どもたちの論理的思考力を高めていくことです。ある企業の経営者にお話を聞いたとき、卒業した大学の偏差値と会社での業績は関係ないとおっしゃっていたことが印象に残っています。卒業した大学が偏差値の高い大学でなくても、論理的思考力があれば、目の前の課題について考えられるのです。
学び方も含めて、小さいうちに身につけたことは一生ものの財産になります。目先の受験にとらわれる気持ちもわかりますが、子どもの人生は先が長いのです。論理的思考力は、小学校から育てた方がより伸びることがわかっています。私は公立の小学校や大学附属の小学校も経験していますが、論理的思考力を鍛えた子が最終的に伸びていく姿をたくさん見てきました。特に、素直さのある子どもは、大きく成長します。もちろん、疑うことも大切ですが、「学校でこんなことをするなんて面白いな」と素直に楽しめる児童は、卒業してからもずっと伸びていきます。本校では、そのような授業をたくさん行っていますので、保護者の皆さんも一緒に学校教育を楽しんでいただきたいです。
小学校の教員が目指すのは、偏差値の高い中学校に多くの児童を進学させることではなく、社会に出てから本当の意味で活躍できるベースを小学校段階で育てることだと思っています。本校が重視しているのは、授業力の向上によって、子どもたちの論理的思考力を高めていくことです。ある企業の経営者にお話を聞いたとき、卒業した大学の偏差値と会社での業績は関係ないとおっしゃっていたことが印象に残っています。卒業した大学が偏差値の高い大学でなくても、論理的思考力があれば、目の前の課題について考えられるのです。
学び方も含めて、小さいうちに身につけたことは一生ものの財産になります。目先の受験にとらわれる気持ちもわかりますが、子どもの人生は先が長いのです。論理的思考力は、小学校から育てた方がより伸びることがわかっています。私は公立の小学校や大学附属の小学校も経験していますが、論理的思考力を鍛えた子が最終的に伸びていく姿をたくさん見てきました。特に、素直さのある子どもは、大きく成長します。もちろん、疑うことも大切ですが、「学校でこんなことをするなんて面白いな」と素直に楽しめる児童は、卒業してからもずっと伸びていきます。本校では、そのような授業をたくさん行っていますので、保護者の皆さんも一緒に学校教育を楽しんでいただきたいです。








