取材レポート

川村小学校

放課後活動を通して子どもたちに居場所を提供し、体験の重要さを伝える

体験を重視した教育活動に取り組む川村小学校では、大自然の中で学び合う蓼科学習をはじめ、放課後活動で行われる「A・S(アフタースクール・セミナー)」も特色ある取り組みのひとつとして知られています。今回は2022年度より始まった「学習サポート」も含め、放課後活動の取り組みについて教頭の渡邊隆之先生にお話を伺いました。

川村小学校 教頭 渡邊隆之先生のお話

教頭 渡邊隆之先生

教頭 渡邊隆之先生

川村小学校 教頭 渡邊隆之先生のお話

様々な体験の場を提供する放課後の「A・S(アフタースクール・セミナー)」

川村小学校では体験を通した教育活動を大切にしています。大自然の中で学び合う蓼科学習も本校の特色のひとつとして知られていますが、放課後活動においても子どもたちに色々な経験をさせてあげたいという思いから様々な取り組みを進めています。

毎週火曜日から金曜日の放課後は「A・S(アフタースクール・セミナー)」があり、各分野の専門講師を招いて図画工作、体操、水泳、英語、茶道、華道の6つの講座を開講しています。

回数や講座の内容によって費用は多少異なりますが、おおよそ月額6,000円で受講いただけるようになっています。校内にいるため移動も無く安全ですし、学校の友だちと一緒に習い事ができるので子どもたちにとても安心できるようです。

講座ごとに対象となる学年が異なっていまして、茶道、華道は3年生から。英語は全学年を対象にしていますが、低学年はクラスの半数が参加するほどで、多くの子どもたちが放課後のA・Sを受講しています。

コロナ禍を経てよりいっそう高まる体験的な活動への気持ち

英語の受講者数が多い理由としては、勉強のためというよりも英語が単純に好きだからやりたいと言っている子どもが多いように感じます。もちろん低学年の頃は自分の意思というよりも保護者に勧められて始めるというのが多いかとは思いますが、英語は本校の特色のひとつでもあり、英語が好きな子どもは多いと思います。

またコロナ前と比較するとA・S全体の希望者数も増えていて、講座によっては定員がいっぱいになっています。

その理由として考えられるのは、この2年間、コロナ禍の影響によってA・Sや学校行事など様々な場面で活動が制限されていたこともあり、子どもたちのやりたいという気持ちと、保護者も子どもたちに色々なことをやらせてあげたいという思いが強くあるように感じます。

これは余談ですが、毎年4年生から6年生の希望者を対象に2泊3日のサマーキャンプを実施しているのですが、今年度は例年の倍近い希望者数があり、バスの台数を増やすだけでは対応しきれず2回に分けて実施することになりました。

子どもたちのやりたいという思いと、保護者たちのやらせてあげたいという思いに対して、学校としてもきちんとしたかたちで実現させてあげたいと思っています。

1年生から3年生を対象に16時30分まで行う放課後の「学習サポート」

また今年度(2022年度)から放課後活動のひとつとして「学習サポート」を始めることになりました。1年生から3年生を対象に、各学年の担当教員が16時30分まで子どもたちの宿題や課題など勉強のサポートをしています。

共働きのご家庭が多い昨今のニーズにも応えるもので、これまでは毎週月曜日の「学校開放」の日以外は、A・Sの終了する15時30分には下校することになっていたのですが、「学習サポート」を始めたことによって月曜日から金曜日まで毎日16時30分まで学校にいられるようになりました。

「学習サポート」で行う内容については導入して間もないのでプログラムのようなものは無く、まずは宿題からやりましょうと取り組み始めました。なかにはA・Sを受講せずに14時30分から16時30分まで「学習サポート」に参加している子どももいて、宿題が終わった子どもにどういったことをしてあげるかは各学年の担当教員が子どもたちの様子を見ながら進めているところです。

この取り組みを通して気がついたのは、普段の一斉授業では見られないような子どもたちの姿が見られるようになったことです。自分が担当していないクラスの子どもが来ることもありますし、他の教科について教えることもあります。少人数あるいは個別になることで新たな発見もあり、子どもたちとかかわり合いながら時間を共有できています。

4年生になると週2回実施される「算数セミナー」が始まり中学の学習につなげています。その他「英検直前対策講座」、「クラブ活動」も始まり、放課後の過ごし方はさらに選択肢が広がります。「クラブ活動」では隣接する中学・高校の施設も活用し、本格的な指導が受けられるようになっています。

子どもたちがのびのびと取り組める雰囲気を大切にした放課後の時間

「A・S」や「学習サポート」といった放課後活動は子どもたちに居場所を提供するというニーズに応える部分もありますが、学校としては放課後の時間を活用して子どもたちに色々な経験をさせてあげたいという思いから取り組んでいるものなので、教科の指導につなげようとかA・Sも必ずやらなければいけないというものではありません。

ですから「あれダメ」「これダメ」と言うよりも子どもたちがのびのびと取り組めるような雰囲気を大切にしています。上手くできなかったり失敗したりしても良いと。

大切なのは様々な経験を通して知っている、あるいはやったことがあるということが多ければ多いほど視野が広がると思いますし、その分野の専門の人に教えてもらえる貴重な機会だと思います。学校としては色々なことに興味を持って前向きに取り組んでくれる子どもになって欲しいと思って放課後活動にも力を入れて取り組んでいます。

「やったね」、「できたね」という経験をたくさん積んでもらいたい

やったことが無いあるいは知らないことに対して、どうせダメだろうというスタンスで物事に取り組むのか、これってどうなんだろうと目を輝かせて前向きに取り組むのかによって、その人が得られるものは全く違うと思います。

これは入試の個別審査にも関わるお話ですが、本校では入試に際して点数をつけるようなペーパーの試験は行っていません。幼稚園や保育園の子どもに対して、合っていたら○、間違っていたら×をつけるような経験は必要無いと思っているからです。

学校説明会でもいつもお話しているのは、点数に縛られて子どもに○×をつけるのでは無く、子どもらしくお友だちと遊ぶことやお家でいろいろな生活の体験や経験をしてもらうことの大切さをお伝えしています。

例えば、生活する中で危ないと思う場面があり親としてはダメと言うのは簡単なのですが、ダメと否定されたら子どもの興味や関心もそこで終わってしまうので、むしろ危ない状況を取り除きつつ、できたことに対して「やったね」、「できたね」という方が子どもの気持ちは豊かに育つと思うんです。

放課後活動にも学校のこのような考え方があらわれていて、子どもたちの気持ちが豊かに育つように、多くのことに積極的に取り組める場を提供し、「やったね」、「できたね」という経験をたくさん積んでもらいたいと思っています。

編集後期

放課後の子どもたちの居場所づくりや様々な経験をさせてあげたいという親身な学校の姿勢が伝わる取材でした。コロナ禍で制限された子どもの気持ちや保護者の思いに寄り添うように、先生方もその気持ちに応えようとする強い意思が感じられ、保護者と学校が一体となって子どもたちを思う校風に魅力を感じました。

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