小学校受験の基礎知識

小学校教育の未来〜21世紀社会を生きるために必要な力を養う〜

グローバル社会を生きる力

小学校への入学を控えるお子さんの10年後、20年後は、どのような社会になっているでしょう.。

21世紀はかつてない変化の激しい時代といわれています。グローバル化・情報化がますます進み、国境を超えた人々の交流や文化・政治・経済活動は今よりもさらに広がっていくでしょう。そのなかで世界規模の課題も次々と生じることが予想されます。ビジネスの世界も目まぐるしく変化し、それに合わせて新たな人材が求められ、雇用の流動化がさらに進むことでしょう。
一方、現在日本では、少子高齢化、生産年齢人口の急減、労働生産力の低下など厳しい時代を迎えており、子どもたちの未来は不透明です。

楽しく自然に英語を学べる環境
帝塚山学院小学校

国では、こうした状況をふまえ、21世紀のグローバル社会をたくましく生きる力の育成に乗り出しています。

小学校から大学まで、さまざまな教育改革が進められていて、これから小学校に入る子どもたちは、まさに新しい“21世紀型の教育”を受けることになります

グローバル化に対応する教育とは?
その1「自ら考え、判断し、表現する力」の育成

国では、グローバル化に対応する教育を大きく打ち出し、それに基づいて小学校の教育目標として次の3つを掲げています。
◆基礎的な知識および技能
◆知識・技能を活用し、自ら考え、判断し、表現する力
◆主体的に学習に取り組む意欲

以上の目標は、中学校、高校も共通です。3つの目標のうち、特に重視されるのが「自ら考え、判断し、表現する力」です。これは、基礎力の次の段階となる応用力・活用力に当たります。
学校では基礎力重視の教育が行われてきましたが、これからは応用力育成に重点が置かれ、教科書で習った基礎・基本をもとにして、自ら考える力や、表現する力を身につけることが大切になります。

予想・討論・実験で展開する理科授業 四條畷学園小学校

こうした力を育てるために、今後の授業では、子どもが身につけた基礎的な知識・技能を、自ら活用する学びが増えます。たとえば、観察・実験やレポートの作成など。

また、教科を横断した課題解決的な学習や、探究的な活動も増えます。これは、子どもが各教科で身につけた基礎的な知識・技能を、自ら総合して課題に取り組む活動のことで、すでに総合的な学習の時間で行われています。今後はこうした活動がさらに重視されるようになります。

グローバル化に対応する教育とは?
その2「英語教育」の強化

はつしば学園小学校 英語授業

グローバル化に対応する教育として、「自ら考え、判断し、表現する力」とともに国が推進するのが、英語教育です。
現在、小学校5・6年生は、「外国語活動」として英語が必修となっていますが、この先、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年を目途に、小学校の中学年(3・4年生)から英語を週1〜2時間、高学年(5・6年生)で週3時間程度に増やすことが予定されています。
中学校では、英語の授業は「英語で行うこと」を基本とし、高校では加えて英語による発表や討論なども行うことをめざしています。

以上のように、小学校から高校、さらに大学まで英語教育が強化され、特に小学校〜高校では、英語での「コミュニケーション能力」の育成に力点が置かれるようになります。
英語教育の開始年齢も現在より早められ、さらにこの先、小学校低学年からの英語教育も検討されることになるのではないでしょうか。

2020年より大学入試が変わる

これから小学校に入るお子さんには、まだ遠い将来のことになりますが、2020年より大学の入試が大きく変わります。ちょうど現在の小学校高学年の児童が大学受験をする時期に当たります。

新しい入試では、現行の大学入試センター試験に代わり、「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」が行われます。このテストでは、先に示した小学校の3つの教育目標のうち、「基礎・基本の知識・技能」に加え、特に応用力としての「思考力・判断力・表現力」を問うものになる予定です。英語はライティングやスピーキングを含む4技能が重視されます。これまでの知識暗記型の大学入試から、応用力・活用力を見る入試への転換です。

以上みてきたように、日本の教育は大きな転換期を迎えています。学齢期を迎えるお子さんの教育について、小学校、中学・高校、そして将来の社会像など、長い目を持って考えていくことが大切になるでしょう。

私学の魅力、よさを知ろう

私立学校の特徴〜その1「教育理念・教育目標」「教育実践」〜

私立学校の特徴とは何でしょう。一言で表すなら、それは「教育理念・教育目標」と「教育実践」です。
私立学校は、独自の教育理念や教育目標を掲げています。そこに学校のめざす子ども像が込められています。教育理念・目標の違いが、それぞれの学校のよさであり、個性です。

教育実践とは、それぞれの教育理念・目標にもとづいて行われる具体的な教育です。教育理念とともに、とても重要なものです。たとえば、伝統校では、長く受け継がれてきた理念にもとづく独自の教育実践により、代々優秀な子どもを育てています。

新設校では、これから優秀な子どもを育てていこうという意気込みのもと、自分たちの打ち立てた教育理念にもとづいて、その学校ならではの教育を実践しています。

私立学校の特徴〜その2「校風」〜

私立学校の特徴として、「教育理念・教育目標」「教育実践」と並んで「校風」があります。どの学校も、校風を非常に大切にしています。校風は、目に見えない教育効果をもたらします。子どもの人間的な資質や価値観などを育むうえで、校風が大きな役割を果たすのです。家庭だけでは育てられない面も、校風が育ててくれるといえます。

「自由な校風」「真面目な校風」「温かい校風」「活発な校風」など、「校風」はたいてい短くわかりやすい言葉で表されますが、その「校風」をつくるものは、やはり教育理念と、日々の教育実践であり、その学校にかかわるすべての人――教師、子ども、保護者によってつくられます。

伝統校の校風は一朝一夕でできたものではありません。教師と子ども、そして保護者によって、長い歳月をかけて築かれ、揺るぎないものになっています。
新設校では新しく打ち立てた教育理念のもと、それにふさわしい校風を育もうとします。これは教師や子どもだけでなく、保護者も関係してきます。学校づくりという大きな教育事業に、先生とともに保護者も積極的にかかわることができるのです。その営みのなかで、校風が醸成されていきます。

追手門学院小学校にみる私立学校の教育

追手門学院小学校の伝統の教育

追手門学院小学校

実際に、私立学校ではどのような教育が行われているのでしょう。追手門学院小学校(大阪市中央区)を取材しました。
追手門学院小学校の創立は1888(明治21)年。西日本で最も古い歴史を誇る伝統校です。教育目標は『敬愛』『剛毅』『上智』――。大阪城を目前にした格調高い校舎は、最寄り駅からも近く、大阪城の緑に恵まれた抜群の教育環境です。

東田充司 校長先生

「学校には、それぞれ“香り”があります。本校の空気に触れると、子どもたちの背筋が伸びる。追手門学院はそういう学校です」――東田充司校長はそう話します。
「本校は、次世代のリーダー育成をめざして創立されました。教育目標『敬愛』『剛毅』『上智』は、真のリーダーを育てるためのものです。なかでも自他への敬意と、自然への敬意を表す『敬愛』を重んじ、礼の教育が伝統です。子どもたちは、まず登下校時に校門で一礼します。私自身も校門に立ち、子どもたちに一礼し、挨拶を交わします。職員室への出入りも『失礼します』の挨拶を忘れてはなりません。言葉遣いもしっかりと教え、友だちや先生の話を丁寧に聞く子どもを育てます」

『敬愛』の教育として、学年縦割りの集団活動も学院の伝統といいます。
「本校では、異年齢同士の集団活動を重視します。下級生にとって、上級生の存在は大切です。お兄さんやお姉さんが自分の目標になります。上級生も下級生を指導することで、リーダーシップを養います」
本校では、通学区域別に学年縦割りの「校外班」を編成し、それぞれに担当教員がつきます。日々学年毎に集団下校をします。電車のホームでは静かに並び、車内では座りません。清掃も学年縦割りで行うそうです。
「総合学習や大阪城活動でも、校外班を活かします。大阪城活動とは、本校の目の前にある大阪城で行う異年齢活動です。班ごとに大縄跳びなどの運動やスケッチをしたり、遊んだり。みんなで楽しみながら交流し、リーダーシップや思いやり、協調性を養います」

健康な身体と、強い精神力を表す『剛毅』も、伝統的な教育実践があります。秋の体育大会は、男子による組体操「造形体操」や、剣道野試合「龍虎相搏つ」、男女それぞれの騎馬戦、女子の「リズム」などが伝統種目です。

夏の臨海学舎では、5〜6年生が1時間半に及ぶ3qの遠泳に挑戦します。これをめざして、低学年から水泳指導を行います。
「こうした伝統的な行事により、体力とともに、立ち向かう精神力や、やり遂げた自信を養い、剛毅の精神を育てます」と校長先生は話します。

知識と知恵、求道心を表す『上智』の教育では、文化祭の劇発表(2・4・5年生)や、音楽発表(1・3年生)が伝統です。殊に児童の表現力や創造性を養う劇発表を大切にしていて、校長先生もが率先して指導します。先生方による劇発表も行うそうです。日ごろの学習をもとに行う平和教育も、『上智』の教育として大切にしています。長崎の平和公園を訪れ、みんなで作った折り鶴を捧げます。

「体育大会での一糸乱れぬ行進など、集団活動を大切にする一方、児童一人ひとりの個性や表現力、創造力の育成を重視するのも本校の伝統です。授業は子どもの発言の回数を多く設け、みんなが意見を発表します。算数では“自由な算数”を打ち出し、子どもたちからいろいろな答えを引き出すようにします」

また、進学指導にも力を入れています。高学年の主要4教科は、中学進学に対応して専門の教科担任による授業を行い、さらに国語・算数は教員2人制による指導を行います。補習や学習合宿なども実施します。
外部中学へは、四天王寺、清風、同志社香里、清風南海、金蘭千里、灘、帝塚山、東大寺学園などに例年進学しています。
また、併設校の追手門学院大手前中学校、追手門学院中学校(茨木)への内部進学も可能です。

校長先生は、追手門の教育について次のように結びました。「1万3千人の卒業生が、本校の教育の姿を表してくれていると思います。医師となった卒業生が伝統的に多いのですが、そうしたOBたちが、人を大切にする心、人の命を大切にする心を、本校で教えられたと話してくれました。また、かつて国際連合ボランティア(UNV)として、1993年のカンボジア総選挙の支援に赴き、活動中に殉職された中田厚仁氏は、本校卒業生であります。ご子息の意志を継ぐため、国連ボランティア終身名誉大使として活躍されるご尊父である中田武仁氏も本校卒業生です。本校の卒業生は、社会のために尽くす人が多い。そういう人を育てることこそが、本校の最大の伝統です」――

21世紀に活かされる伝統の教育

追手門学院小学校の伝統の教育は、いつの時代にも大切な人間教育であり、殊に21世紀を生きる子どもたちにとって、重要な教育となっています。たとえば、学年縦割りの集団活動。少子化で兄弟の少ない環境で育つ子どもたちには、異年齢同士で活動する機会が貴重であり、近年では社会的に異年齢活動が重視されるようになっています。

「礼」の教育も、人への基本的な礼儀や美しい言葉遣いが身についていない若者が増えているといわれるなかで、改めてその大切さが社会で見直されています。国では学校の「道徳教育」を重視するようになっていますが、「礼」の教育は道徳教育に通じるものです。こうした教育は付け焼き刃ではできません。学校として長い伝統のなかで、教師から教師へ、児童から児童へと受け継がれてきたからこそかなう価値の高い教育です。

異年齢同士の触れ合いや、「礼」を重んじる『敬愛』の教育、心と体を鍛える『剛毅』の教育、個性や創造性を伸ばす『上智』の教育、そして手厚い学習指導など、自立的に守ってきた伝統教育が、21世紀にもそのまま活かされています。どの私立学校も、その学校ならではの高い教育力を持って、子どもを育てています。

関西エリアの私立学校の特徴

小学校卒業後の進路保証

私立学校の特徴として、「教育理念・教育目標」「教育実践」「校風」について見てきましたが、ここでもう一つ大切な特徴をあげておきます。それは、小学校卒業後の進路保証です。これも小学校を選ぶうえで重要な点であり、どの私立小学校もそれぞれの学校の特色を生かして、進路保証に力を入れています。

その1 大学まで併設する学校
関西エリアの私立小学校は、中学・高校、大学まで併設する学校が多くあります。その場合は大学まで内部進学できます*。それらの学校を一部紹介しましょう。
*内部進学は、学校の定める条件を満たした場合に可能となります。条件については、各学校の規定をご確認ください。

城南学園小学校

帝塚山小学校

四條畷学園小学校(大東市)
四天王寺学園小学校(藤井寺市)
城南学園小学校(大阪市)
帝塚山学院小学校(大阪市)
追手門学院小学校(大阪市)
関西大学初等部(高槻市)
小林聖心女子学院小学校(宝塚市)
 ※姉妹校として聖心女子大学があります。
関西学院初等部(宝塚市)
甲南小学校(神戸市)
京都女子大学附属小学校(京都市)
光華小学校(京都市)
同志社小学校(京都市)
ノートルダム学院小学校(京都市)
立命館小学校(京都市)
近畿大学附属小学校(奈良市)
帝塚山小学校(奈良市)

その2 高校まで併設する学校
多くの私立小学校が、中学校・高校を併設しています。そうした学校では、併設中学・高校への内部進学が可能です*。ではそれらの学校を一部紹介しましょう。
*内部進学は、学校の定める条件を満たした場合に可能となります。条件については、各学校の規定をご確認ください。

奈良学園小学校

百合学院小学校

大阪聖母学院小学校
(寝屋川市・中学以降は女子校となり、小学校からは女子のみ内部進学可能)
城星学園小学校(大阪市)
箕面自由学園小学校(豊中市)
はつしば学園小学校(堺市)
賢明学院小学校(堺市)
仁川学院小学校(西宮市)
愛徳学園小学校(神戸市)
神戸海星女子学院小学校(神戸市)
百合学院小学校(尼崎市)
雲雀丘学園小学校(宝塚市)
洛南高等学校附属小学校
 (日向市・2014年開校)
奈良学園小学校(奈良市)
智辯学園和歌山小学校(和歌山市)

その3 併設校を置かない学校
小学校のみで、ほかに併設校を置かない学校として、須磨浦小学校(神戸市・併設幼稚園あり)があります。

12年一貫教育・大学との連携教育

大学まで併設する学校または高校まで併設する学校の多くは、12年一貫教育を打ち出しています。こうした学校では、小学校からほぼ全員が併設の中学校へ内部進学します。

小林聖心女子学院小学校

キリスト教カトリックの女子伝統校、小林聖心女子学院小学校では、小中高一貫教育として12年間を3ステージに区切り、4・4・4制のカリキュラムを導入しています。校種(小学校・中学校・高校)の枠を超えた学び合いや、小中高の教師間の連携を進め、中学の教員が小学校の授業を教えたりするなど、学院独自の質の高い教育を行っています。

関西大学初等部

2010年開校の関西大学初等部では、関西大学の教育理念のもと、小中高12年一貫教育を行っています。

教科指導では12年間を一つとしてとらえ、初等部から中等部へ、中等部から高等部へと校種間での学びの“ギャップ”が生じないよう、体系的なカリキュラムを開発。思考力を高める学びなど、先進的な独自教育を行っています。

2014年に開校した洛南高等学校附属小学校は、東大・京大・大阪大などに多数合格者を出す全国レベルのトップ校・洛南高等学校の附属として、小中高12年一貫教育を打ち出しています。奈良学園小学校も12年一貫教育を行っています。キリスト教主義の女子校・神戸海星女子学院小学校では、進学校として知られる併設中学校に優先的に進学でき、ほとんどの卒業生が内部進学します。

同志社小学校も中学・高校、さらに大学までの一貫教育を打ち出しています。小学校卒業後の内部進学先として、同志社中学校・高等学校、同志社女子中学校・高等学校など4つの学校の選択肢があり、大学は同志社大学、同志社女子大学の2つがあります。立命館小学校、関西学院初等部、甲南小学校、奈良学園小学校なども一貫教育を行っています。

近畿大学附属小学校

大学との連携も、大学まで併設した小学校ならではの教育です。近畿大学附属小学校では、近畿大学との連携で英語教育や理科教育、医学部附属病院での体験学習などを行います。関西学院初等部でも関西学院大学との連携による理科教育を行っています。

中学受験指導を行う私立小学校

以上のように、ほとんどの私立小学校が、中学・高校、または大学まで併設しており、その特色を生かした一貫教育や連携教育を行っています。小学校卒業後の“行き先”も保証されています。

この進路保証と同時に、外部中学受験指導にも力を入れる学校が多いのも、関西エリアの特色であり、メリットです。私立小学校で学ぶ子どもは、卒業後は併設中学に進むか、外部中学に進むか、進路選択の幅が広がります。小学校の時点で、まだ卒業後の進路を決められない、または決めたくない、いろいろな可能性を探りたいなど、考え方はそれぞれです。

はつしば学園小学校

2003年開校のはつしば学園小学校では、そんな現代家庭のさまざまなニーズに応えるシステムをとっています。卒業後の内部進学先として、初芝立命館、初芝富田林、初芝橋本の3つの中学校を用意。同時に習熟度別授業、中学進学対策ゼミなど外部中学受験にも対応し、例年難関私立中学校への合格者を出しています。

雲雀丘学園小学校

サントリー創業者・鳥井信治郎が中心となって創立した雲雀丘学園小学校では、漢字や計算の反復練習などに取り組む短時間学習「ひばりタイム」や、ノート指導など、きめ細かい指導により能力を開発し、自習習慣を身につけさせます。卒業後の進路は、併設の中学校のほか、例年卒業生の約6割が外部の難関私立・国立中学校に進学します。学校では卒業生の進学データの蓄積をもとに、志望校選びのアドバイスも行います。

須磨浦小学校

明治に創立し、110年余の歴史を刻む兵庫県最古の私立小学校・須磨浦小学校では、併設中学・高校を置かず、伝統的にほぼ全員が中学受験をします。独自のカリキュラムで国語・算数を中心に授業時間数を他の私立校より多く確保。放課後や長期休暇中の補習、単元テストなども行い、さらに6年生の授業の一部は進学塾の希学園の講師が担当します。例年難関私立中学に多く進学しています。

先述の追手門学院小学校も進学指導に力を入れ、例年難関私立・国立中学校へ多く進学します。
城星学園小学校、箕面自由学園小学校、賢明学院小学校、仁川学院小学校、百合学院小学校など、さまざまなエリアで中学受験指導に力を入れる私立小学校があります。

英語・国際教育、思考力・問題解決力の育成

国の方針として英語教育を強化することは初めに挙げました。ここで少しおさらいすると、2020年を目途に小学校3・4年生から英語を週1〜2時間、5・6年生では週3時間程度に増やすことを予定しています。英語教育と並んで、「思考力・判断力・表現力」の育成も、国の重点項目となっています。

私立小学校では、ほとんどがすでに1年生から英語の授業を行っています。英語教育の長い蓄積を持つ学校も多くあります。時間数は1年生から週1〜2時間、または低学年は毎朝15分間の英語学習などを行っています。授業は少人数教育や、ネイティブ教員と日本人教員のティームティーチングなど、早期から手厚い英語教育を行っています。国際教育として海外研修旅行を実施する学校も増えています。

四條畷学園小学校 英語音韻知覚訓練教室

教育法も学校それぞれの創意により、独自色豊かなものになっています。四條畷学園小学校では、英語教育の長年の蓄積をもとに実践的な授業を行っています。ネイティブ教員による長めの英文をどんどん聴き、「分かる言葉」をつなぎ合わせて全体の意味を考える――これを1年生から行います。加えて希望者対象に、英語音韻知覚訓練教室や英会話教室を放課後に実施します。

はつしば学園小学校 英語授業(4年生)

はつしば学園小学校では「はつしば学園小学校PLSシステム」による英語教育を展開。6年間で「聞く・話す・読む・書く」をバランスよく身につけ、海外ホームステイができるレベルまで習得します。レシテーションコンテストや1日中英語を使ってスポーツやクッキングなどをする校内イマージョンキャンプ、イングリッシュサマーキャンプ、海外校とビデオレターのやりとりなど英語体験学習や国際教育が充実しています。

 

小林聖心女子学院小学校 ジャパン・フェスティバル

創立時より英語教育に力を入れている小林聖心女子学院小学校では、1年生から週2時間、1クラスを2分割し、ネイティブ教員と日本人教員が交互に授業を担当。中学年以降は音とアルファベット文字の関係が分かるフォニックスも学びながら、リーディングにも入っていきます。系列高校で受け入れている留学生との交流も多く行い、「ジャパン・フェスティバル」では小学生が留学生たちに、生け花や着付け、お茶と和菓子、コマ回し、屋台の射的など日本文化を楽しく紹介するワークショップを開きます。

同志社国際学園初等部では、日本語と英語のバイリンガル育成をめざして、さまざまな教科を英語で学びます。6年間の全授業時数の55%が英語による授業です。京都聖母学院小学校では国際コースを設置し、週4〜5時間の英語の授業のほか、算数や音楽、図工、体育なども英語で授業を行います。5年生はオーストラリア語学研修を実施します。

思考力や表現力、課題解決力の育成も、すでに力を入れて行っている私立学校が少なくありません。関西大学初等部では、思考スキルを身につけ、論理的・多面的に考える力を育てる独自の教育法を開発。「ミューズ学習」の時間として、各学年で年間12時間設置し、思考力を育成しています。

小林聖心女子学院小学校 ソフィータイム

小林聖心学院小学校では、総合的な学習の時間を「ソフィータイム」と名付け、学校図書館の活用や、校外での体験学習を行いながら調べ学習を行います。この学習によって、思考力や表現力、課題解決力を高めます。

女子校・宗教教育を行う学校

関西エリアの私立小学校は、多くが共学校ですが、なかには女子校もあります。
大阪エリアでは大阪信愛女学院、聖母被昇天学院。兵庫エリアでは小林聖心女子学院、愛徳学園、神戸海星女子学院、百合学院。

これらの女子校はすべてキリスト教主義の学校で、多くが創立50年を超える歴史を築いています。なかでも小林聖心女子学院、大阪信愛女学院は創立100年超の伝統校です。

男女共学でキリスト教主義の学校も少なからずあります。大阪聖母学院、城星学園、関西学院、仁川学院、京都聖母学院、同志社、同志社国際学園、ノートルダム学院。

四天王寺学園小学校 写経

仏教主義の学校として、京都女子大学附属小学校、京都文教短期大学付属小学校、光華小学校、四天王寺学園小学校。

以上の学校では、宗教の時間や宗教行事などを通してそれぞれ独自の宗教教育を行っていることが特色であり、公立学校では得られない教育を受けることができます。

放課後預かり教室

両親共働きという時代のニーズに合わせて、放課後預かり教室も私立小学校に広がっています。宿題のサポートをしたり、読書して過ごしたりするほか、校内で塾や習い事もできる学校もあります。

四條畷学園小学校 そろばん教室

四條畷学園小学校では課外教室として、放課後に算数国語教室やそろばん教室、体操教室、ストリートダンス教室、音楽教室など14におよぶ教室を展開しています。

小林聖心女子学院小学校では、低学年を対象にした放課後預かり教室「マイヤークラブ」を実施。お祈りや宿題、本の読み聞かせ、外遊びなど、自然豊かなキャンパスも利用して楽しい放課後活動を行っています。

百合学院小学校 ナザレトクラブ

百合学院小学校では、1〜6年生を対象に最長午後7時まで預かる「ナザレトクラブ」を開設。礼法、習字、英語教室やスポーツ教室などの曜日指定保育をはじめ、おやつの時間や季節の行事なども行っています。スクールバスも運行し、ナザレトクラブのあとも安心して下校できます。

京都聖母学院小学校では民間企業の受託運営による学童保育支援サービス「プチパ」を開設し、全学年対象に午後7時まで預かります。
立命館小学校では、アフタースクールとして計16講座を開講し、専門家が指導します。
こうした預かり教室の多くは費用がかかりますが、外部の塾や習い事に比べ低額で、利用しやすくなっています。

生涯の友、生涯の恩師に出会える場

私立学校のよさは、学習など目に見えるところだけでなく、目に見えない部分にもたくさんあるから、ぜひそこも見ようとしてほしい――ある伝統校の先生はそう言います。
目に見えない部分のよさの最たるものは、生涯の友、生涯の恩師と出会えることではないでしょうか。

小学校の6年間、また中高6年間の計12年間、加えて大学4年間、ともに学校生活を送るなかで友情を深めることができます。小学校から高校までの12年をともに過ごす間に、ほとんどが顔見知りになり、また先生も全校児童・生徒の顔を覚えます。
私立学校では教員のメンバーも大きく変わることなく、小学校の先生は教え子が中学、高校へ進んでも、ずっとその成長を見守ってくれます。

同級生、先輩、後輩……横のつながり、縦のつながり、そして恩師とのつながり。それは学校を卒業してからもずっと続きます。母校を愛する気持ちが、みんなの心を結び付けます。
やがて社会人となり、家庭を持ち……年齢を重ねるほど、校友のありがたみや、喜びを味わい、人生の豊かさを感じることができるでしょう。

私立受験、これだけは押さえよう

入試スケジュール、受験料

主なスケジュールは以下の通りです。
面接 9月半ばから開始。
考査 10月1日より開始。(京都のみ、10月25日開始。一部の学校は除く)

面接は考査より先に実施、同時に実施、考査の後に実施など学校によります。また入試を前期、後期など複数回行う学校もあります。

受験料は10,000円〜20,000円です。

入試内容 

・面接
多くが親子面接を実施。保護者のみの面接を実施する学校もあります。
子どもへの質問は、名前や誕生日、幼稚園名、幼稚園でのお友だちの名前、友だちとけんかしたときはどうするか、家でのお手伝い、お母さんの料理で好きなもの、休みの日の過ごし方……など。

保護者への質問は、志望動機、家庭の教育方針、子どもの性格について、子育てで気をつけていること、しつけについて、なぜ私学に入学させたいのか、家庭での話題、子どもがいちばん関心のあることは何か、子どもにどのような父親(母親)と思われているか……など。

・考査 
大きく分けて行動観察、ペーパーテスト、個別テストがあります。
行動観察はグループで行うことが多く、遊びやゲームを通してコミュニケーション力や協調性を、絵画や工作など課題制作を通して創造性や表現力を、ボール投げやけんけん、なわとび、かけっこなどの活動を通して体力・運動能力を、生活課題を通して生活習慣・生活知識、巧緻性などを調べます。たとえば、ハンカチの使い方、洋服たたみ、箸の使い方、ひも結びなど、広く生活に関する課題が出されます。

ペーパーテストでは、主に数量、図形、記憶(お話を聞いて内容を記憶し、質問に答える)、常識(季節、植物、野菜、虫、果物、年中行事などに関する常識問題)、推理思考(対象図形、重ね図形など)の分野から出題されます。また電車マナーなどもペーパーで出題する学校があります。

個別テストでは、子どもと試験官の1対1または1対2などにより、口頭試問的なテストを行います。絵を見てお話をつくったり感想を述べたりする、おはじきなど具体物を使って数量の問題に答える、ランチョンマットに食器を並べる、洋服を風呂敷に包むなど、知識、生活常識、巧緻性などを調べます

初年度学費

学校により開きがあり、初年度合計学費*70万円台〜100万円台に集中しています。70万円以下の学校もあります。入学金は10万円〜40万円程度、年間授業料は30万円〜60万円程度となっています。寄付金は任意で、取っていない学校も多数あります。

*受験料、入学金、授業料、施設設備費、教育充実費、PTA会費、冷暖房費等。